自己抗原に応答性する制御性T細胞が安定的に免疫寛容を維持するためには、免疫応答のどの過程を制御することが重要であるかを、T細胞免疫応答のシミュレーションと数理モデルの計算から明らかにした。その結果、制御性T細胞が単に周囲のT細胞の分裂確率を低下させるだけでは、安定な免疫寛容維持には不十分であることが分かった。T細胞と抗原提示細胞の相互作用を増強させることが、免疫寛容を安定に維持するためにも必須であった。更に、この理論予測に基づいて、免疫応答を増強することが可能であることを、糖尿病モデルマウスや同種抗原に対するT細胞増殖応答測定により示した。免疫制御の機構における地形的見取り図モデルを提唱する。
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