研究課題
肥満をはじめとするメタボリックシンドロームに関連する疾患において、疾患局所に浸潤し組織固有の機能を持ったマクロファージに分化する単球の役割の重要性が指摘されている。これまでに抑制性の細胞表面分子であるPILRαが好中球の動態を負に制御している事を明らかにしてきた。マウスにおいて血中の単球はLy6cの発現による2つのサブセットに分類される。申請者はPILRαが単球の両サブセットにおいて発現されており、とりわけLy6c-の単球に高発現していることを見出した。これらのことより好中球と同様に、PILRαが単球の組織への浸潤を制御している可能性が考えられた。そこで本年度は単球の組織への浸潤にPILRαが関与しているか否か、及びその作用機序の解明を目的とした。その結果、細胞ー細胞接着に関与するインテグリンのシグナルをPILRαが制御していることを明らかにした。さらに、PILRαはインテグリンシグナルを制御することで、単球の組織への浸潤を負に制御していることも明らかにした。PILRαが単球の動態を負に制御していることが明らかになったので、次にメタボリックシンドロームに関連する疾患における単球とPILRαの関係について検討をした。現在、Pilraノックアウトマウスを用いて、生体内におけるPILRαの役割について、メタボリックシンドロームに関与する疾患を中心に解析を進めている。具体的には、脂肪組織の肥大、及び肝臓の繊維化に及ぼす単球の役割について解析している。
3: やや遅れている
PILRaによる単球の挙動の制御機構を明らかにしたものの、加齢との関係が重要な事がわかり、実験に使用する動物のagingが必要となった。そのため予定よりも生体内における役割の解析が遅れているため。
ノックアウトマウスの解析を中心に、PILRaのメタボリックシンドロームにおける役割を、単球の役割を中心に計画通り進めていく予定である。
in vitroの実験はほぼ計画通り進められたが、遺伝子欠損マウスの準備等で予定外の事態が発生したため、in vivoの実験がやや送れているため。
前年度に行えなかった動物実験も含め、申請通りの実験計画で解析を進める予定である。
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