研究課題/領域番号 |
15K08542
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
冨尾 淳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10569510)
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研究分担者 |
佐藤 元 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (70272424)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 健康危機管理 / リスクコミュニケーション / 医療行動学 |
研究実績の概要 |
本研究は、健康危機発生時の行政や保健医療機関等と一般市民とのコミュニケーションについて、国内外の事例を行動科学および政策科学の視点から分析・検証し、わが国の現状に即したリスクコミュニケーションの手法を開発することを目的としたものである。平成29年度の主な実績は以下の通り。 1. 前年度に実施した国内の2自治体の住民を対象としたアンケート調査の結果を分析し、1)自宅で緊急地震速報が鳴動した際の適切な行動(室内の安全な場所に移動する)を把握している住民の割合が13%と低く、自治体が全戸配布した防災マニュアルを読んでいた群では、マニュアルの存在を知らなかった群に比べて、適切な行動をとる割合が統計学的に有意に高かったこと、2)集中豪雨時の避難のタイミングについては76%が避難指示発令までに避難を開始すると回答し、その割合は防災マニュアルを読んでいた群で、存在を把握していない群に比べて高かったこと(有意差なし)、などが明らかになった。自治体による防災マニュアルは、住民の防災行動の推進に効果を有することが期待される一方、より多くの住民への普及に向けた配布方法やコンテンンツの工夫が課題として挙げられた。以上の結果について、対象自治体での市民フォーラム等での報告や住民との意見交換を通じて情報提供を行った。 2. 一般市民を対象としたウェブ調査を実施し、リスク情報の提示法による行動の差異について分析した結果、同等のリスク(経済的コストなど)について、短期的な見積もりよりも長期的な見積もりを提示した方が、適切な行動をとる人の割合が高いことが明らかになった。 3. 米国の医療機関における災害等の緊急事態対応システムとして使用されるHospital Incident Command System (HICS)について、危機管理コミュニケーションを含めた対応計画指針等の関連資料を翻訳しウェブ上に公開した。
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備考 |
米国カリフォルニア州救急医療サービス局(Emergency Medical Services Authority; EMSA)の許可および協力のもとで、Hospital Incident Command Systemの日本語訳コンテンツを掲載。掲載内容は随時更新。
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