研究課題
本研究は、今後我が国の医学教育で主流となる、参加型臨床実習を念頭に、多忙な臨床現場で教育効果を高めつつ、指導教員の時間 的・空間的負担軽減を図るという相反する目的を達成するために、ICTデバイスを活用するとのコンセプトの下で計画を進めてきた。まず我々は授業の一環として実際の外来診察を想定した医療面接実習を行い、その中に我々の作成したICTデバイスを導入し、その有効性を評価するとの方策を採用した。我々の行っている医療面接実習は、実習生数人が1つのグループとなり、医者役と評価役を順に交代しながら医療面接を行なうものである。平成29年度は昨年度より用いているAruduinoをbaseにしたセンシングシステムと併用してその主観的および客観的評価を中心にデータ収集を行いその解析を進めた。本研究ではグループ間で行われる相互評価に着目したグループ内評価支援方式を行った。スマートグラスとしてGoogle GlassおよびEpson Moverioを活用しその上でプロトタイププログラムを導入して学生実習後に評価を受けた。その結果、1)グループ内評価支援方式では従来の実習の流れに付け加え、面接終了直後に全員分の評価内容を1つにまとめた結果を提示することで自習可能であること、2)評価結果を参照することで指導医による遠隔指導が容易に可能となること、が判明した。実際にシステムを実装して授業中に試用することで、評価役の評価と指導医の評価の一致率は約74%という結果を得ており、指導医がその場におらずともある程度グループ内で自習可能となることが明らかとなった。
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