研究課題
滋賀県周産期死亡の改善を目的とし、死産票および死亡小票を参考に後期死産391例)および新生児死亡症例(166例)を検討した。解析した症例のうち死亡が回避可能と判断された症例は後期死産、新生児死亡それぞれ29例(7.4%)、5例(3.0%)であった。後期死産の回避に関する提言として、産科医の妊娠・母体管理能力不足の改善と母体搬送不能緊急時の医師応援体制の構築とともに、妊娠知識の妊婦や社会への一層の啓発が必要であることが判明した。また、新生児死亡症例の検討から死亡回避には出生後の新生児集中管理の問題よりもむしろ妊娠中からの産科の母体管理の改善の必要性が大いに関連していることも判明した。これらの提言を随時、県内周産期関連施設へ還元するのみならず、妊婦および社会への啓発を行い、年間の後期死産数及び新生児死亡数も減少傾向となった。そして、平成19年の厚労省発表の周産期死亡率は6.2で全国44位と極めて下位であったが平成29年には2.4で全国1位の良好な結果となり、研究の成果が極めて顕著に現れた。平成19年から平成23年までの5年間と平成24年から平成28年までの5年間を比較すると平均周産期死亡率(出産千対)は前期4.93から後期3.77と有意に減少した。尚、研究期間以前の5年間の平均周産期死亡率は5.46である。他の周産期統計値もすべて同様で後期死産率(出産千対)、早期新生児死亡率(出産千対)、新生児死亡率(出生千対)はそれぞれ3.99 → 3.78 → 3.00、1.47 → 1.15 → 0.77、1.94 → 1.54 → 1.02と有意に低下を示した。このことより、我々が行った周産期医療改善のために提唱した対策と提言は極めて有用であり、既存の医療資源を維持したままで病診連携や社会啓発を行うことで周産期死亡を回避できることが証明できた。
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