研究課題/領域番号 |
15K08549
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
和田 泰三 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (90378646)
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研究分担者 |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (70190494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 事前指示 / 抑うつ / 死亡 / 生命予後 / GDS / 老研式活動能力指標 / 主観的健康感 |
研究実績の概要 |
28年度も土佐町在住者と「ライフ・イン京都」在住者を対象とした高齢者総合機能評価を行った。土佐町在住者については、厚生労働省より人口動態調査・死亡個票情報の提供をうけ、11年間の死亡データの収集を行った。土佐町在住者の抑うつは日常生活動作(ADL)低下, QOL低下と有意に関連することを横断研究で報告したが、死亡との関連については不明な点があるため、抑うつが生命予後と関連するか否かを検討した。 2004年、土佐町に居住する65才以上の高齢者(N=1444 平均年齢75.0±6.9, range65-103)を対象とし、Geriatric Depression Scale-15(GDS)により抑うつを評価すると同時に、基本的ADL, 老研式活動能力指標、主観的健康感を評価した。GDS9点以上の抑うつあり群とGDS8点以下の抑うつなし群の2群にわけて11年間のKaplan-Meir分析を行うと同時に、Cox比例ハザードモデルによって、ベースラインでの抑うつ、ADL低下、主観的健康感低下が年齢・性で調整しても生命予後と関連するか否かを検討した。その結果、11年間に30.1%の高齢者が死亡していた。抑うつあり群295名(20.4%; 男122女173)は抑うつなし群1119名(男470、女679)にくらべて生存時間の有意な低下(Log Rank test P<0.001)を認めたが、この傾向は男性においてフォローアップ期間早期からより明確に認められた。(男p=0.006、女p=0.03)また、抑うつは年齢・性調整後のハザード比1.3 (95%CI:1.02-1.57)の有意な生命予後予測因子であった。基本的ADL低下、老研式活動能力指標非自立、主観的健康感低下の各因子も生命予後に対して有意な関連を認めた。抑うつは男性においてより強く生命予後と関連することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土佐町在住高齢者と有料老人ホーム 「ライフ・イン京都」在住高齢者を対象とした総合機能評価をおこない、事前指示の作成状況を明らかにするとともに、認知・行動機能検査、抑うつ評価を予定通り実施した。また、ライフ・イン京都居住者を対象とした事前指示書に関する広報活動もおこない、ほぼ計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき土佐町と「ライフ・イン京都」での総合機能評価健診をおこなって、事前指示書の作成状況を明らかにする。また、土佐町を含む嶺北医療圏において終末期の水分・栄養方法に関する新たな事前指示書を開発し、アドバンス・ケア・プランニングを推進する。適宜、英国・レスター大学、インドネシア・チェンデラワシ大学、スペイン・アンダルシア公衆衛生学院の研究者らと連携して高齢者終末期ケアの実態に関する情報収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費が当初予定よりも少なくすんだため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
独自の事前指示書作成のための費用、土佐町-京都間の旅費、総合機能評価健診と資料整理のための人件費として使用予定。
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