研究課題/領域番号 |
15K08563
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
中江 秀幸 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (70550169)
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研究分担者 |
原田 光子 亀田医療大学, 看護学部, 教授 (90259193)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / パーキンソン病 / 郵送法アンケート / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
平成27年度は研究初年度であり、地域で在宅療養されているパーキンソン病患者への支援活動を検討するための現状把握として、アンケート調査を実施した。アンケート調査は2種類であり、患者会所属の170名を対象とした通院状況、医療機関におけるリハビリテーション(以下、リハ)実施状況、介護保険制度下におけるリハ実施状況、自宅での自主練習の実施状況について郵送法にて調査を行った。他方のアンケート調査は、介護保険サービス提供している事業所について政令指定都市S市内の335件を対象とし、パーキンソン病患者のサービス利用状況、リハ担当者の職種、現在の問題点や要望などを郵送法にて調査を行った。 患者会へのアンケート結果から、医療機関でのリハ経験者は50.0%であったが、現在も医療機関でリハを継続しているのは全体の34.9%であった。介護保険認定率は72.1%、サービス利用率は65.1%と良好であった。サービス利用状況では通所介護サービスが最も多く、次いで通所リハサービス、訪問リハ、ショートステイとなっていた。サービス利用に対して何らかの満足感を感じているのは72.4%と高く、質問相談や自主練習の指導といった内容が多くみられた。一方で何らかの不満を感じているのは60.3%であり、実施頻度、実施時間、内容がいつも同じといった回答が上位を占めた。自宅での自主練習は79.1%と実施率が高かったが、医療機関でのリハ経験の有無ではなく現在の介護保険サービス利用の有無の影響が高かった。 事業所へのアンケート結果では、有効回答率が21.2%と著しく低かった。現在、パーキンソン病患者が利用中の事業所では1.2人/日の利用状況であった。現状としては、人員不足や服薬や症状に関する主治医との連絡、知識不足などの問題が多く上がっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は分担研究者とともにアンケート内容を検討し、所属機関における倫理委員会申請と許可を得て、二種類のアンケートを実施した。そのアンケート集計結果から、平成28年度に行うべき支援活動を検討を行った。ただし、アンケート実施結果を研究成果として発表には至っておらず、準備段階である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施したアンケートから、提供されている介護保険下のリハビリテーションサービスの問題点やneedsを把握できたことを踏まえ、研修および体験型の支援活動の具体的内容の検討、そして開催準備を行い、本年度内に実施する。実施するめの準備として、実施内容の検討と必要な測定機器(申請済)は完了している。今後は会場の選定、患者への広報、協力者への依頼を進めて年度内に実施する。現在、身体機能測定として、下肢筋力、足趾把持力、重心動揺計による立位バランス、歩行能力、身体活動量を指標とすることを計画しており、それに加えて転倒状況、QOL、服薬情報、パーキンソン病統一スケールを合わせて調査を行う。この調査結果から、転倒要因や活動量を低下させる要因などについて分析を行う。これら実施状況や結果を踏まえて、支援活動内容や実施形態について改善・修正を行い、平成29年度に複数回、実施してその効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート郵送の後納付手続きやアンケート回収に期間を要したため、年度内の学会発表やアンケート結果を踏まえた支援活動を共同研究者と検討するための会議などを持つことが予定より少なかったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの助成金と次年度以降に請求する助成金を合わせた使用計画としては、平成28年度4月に購入予定されている機器の発注、平成27年度の調査結果を学会で公表、平成28年度の支援活動を計画するために必要な会議の旅費、支援活動を実施するための費用として使用することを計画している。
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