研究課題
初年度である2015年度は,医学研究者に対する教育プログラムを作成する上で必要な情報収集及び既存データの分析を行った.情報収集に関しては,既に多くの教育プログラムを提供しているロンドン大学MRC臨床試験ユニットを訪問し,実際に研究者への教育プログラム(一日コースから修士課程の科目まで)を開発した統計家も含め計8名の研究者と会合を行い活きた情報を収集した.既存データの分析に関しては,研究班が所有する統計相談データベース及び以前の講義・セミナーに対するフィードバック・アンケートの情報を探索的にデータ解析し研究者のニーズを抽出した.次に,収集した情報や分析結果を基に,代表者及び分担者が所属機関にて年2回実施している半日の臨床研究デザイン・医学統計セミナーの内容をブラッシュアップした.講義は最小限に留め,グループワークの時間及び内容を拡充した.その際,共通の書式により匿名のフィードバック・アンケートも実施した.このデータは2016年度に分析する.本研究に関する学会発表として,代表者は,日本うつ病学会(臨床研究における症例数設定に関するワークショップ)及び日本計算機統計学会(医学部における生物統計家の役割に関する特別講演)にて学会発表し,分担者も臨床学会にて多くの学会発表を行った.一方,研究代表者は,臨床研究において近年その対処法の重要性が増している欠測データへの対処法に関して,2件の海外学会発表を行い,臨床研究における欠測データの統計解析に関する書籍も出版した.この成果も教育プログラムに含める計画である.2016年度は,前述の分析結果を中心に学会発表及び論文投稿を行い,得られた知見を広く情報発信すると共に,プログラムの更なる改善及びフィードバック・アンケートの実施・分析を継続する.
2: おおむね順調に進展している
初年度である2015年度の研究計画は,(1)臨床研究デザイン・医学統計教育プログラムに関する研究者のニーズ把握,(2)研究者のニーズ分析に基づくパイロットプログラムの作成,(3)セミナーにおけるパイロットプログラムの実践及びフィードバック・アンケートの実施であった.(1)については,英国ロンドン大学MRC臨床試験ユニットに短期滞在し,実際にプログラムを開発した統計家も含め8名の研究者から活きた情報を入手した.参加者の熟練度ごとに教育プログラムに含めるべき項目が明らかとなり,統計ソフト等を用いた参加型のセミナーの有用性が強調された.これらの情報は教育プログラムを作成する上での留意点となり非常に有益なものであった.更に,既存の統計相談データベース及び講義・セミナーへのフィードバック・アンケートを探索的に分析した.講義内容は慎重に吟味し最小化し,グループワークを増やすことにより教育効果を高められることが示唆された.また,研究者が実際に直面する頻度の高い問題点が明らかとなった.これらの分析結果を基に,(2)に関して,代表者及び分担者が所属機関にて年2回実施している半日の臨床研究デザイン・医学統計セミナーの内容をブラッシュアップし,(3)実施し共通の書式を用い,匿名のフィードバック・アンケートを実施した.最後に,代表者は日本うつ病学会(臨床研究における症例数設定に関するワークショップ)及び日本計算機統計学会(医学部における生物統計家の役割に関する特別講演)にて,本研究の成果の一部を学会発表し,分担者も臨床学会にて多くの学会発表を行った.一方,研究代表者は,臨床研究において近年その対処法の重要性が増している欠測データへの対処法に関して2件の海外学会発表を行い,臨床研究における欠測データの統計解析に関する書籍も出版した.以上,2015年度は概ね計画通りに研究を推進できた.
2年目である2016年度の研究計画は,(1)2015年度同様,改良したパイロットプログラムを試行し,フィードバック・アンケートを実施し情報収集を行う.(2)海外の生物統計家を招聘し,更なるプログラムのブラッシュアップを行うことである.(1)については,引き続き所属機関において年2回実施する臨床研究デザイン・医学統計セミナーの教育プログラムをブラッシュアップし,実際に適用する.フィードバック・アンケートも継続する.更に,医学研究者への統計相談データベースの件数も日々増えているため(現在,累計800件),再度探索的データ解析を行う.これらの分析結果を中心に学会発表及び論文投稿を行い,得た知見を本邦において広く情報発信する.(2)については,海外研究機関(ミネソタ大学公衆衛生大学院・生物統計部門を想定)から研究者を招聘し,パイロットプログラムに関する意見を頂くと共に,国内にてシンポジウムを開催する計画である.その他にも関連する学会発表を積極的に継続・実施する.
次年度使用額が生じた理由は,本年度は英国及び米国の大学を訪問し教育プログラム作成のための情報収集を行う計画であったが,英国の大学のみを訪問したためである.
次年度は,本年度に使用できなかった予算を効率的に活用し海外大学を訪問し情報を収集する.併せて海外大学から研究者を招聘し国際シンポジウムを行う予定である.このため,次年度は計画通りに予算を活用できる見込みである.
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 図書 (1件)
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