• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

地域在住統合失調症者の再発リスクを軽減する包括的環境支援評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K08576
研究機関吉備国際大学

研究代表者

籔脇 健司  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20347280)

研究分担者 京極 真  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50541611)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード統合失調症 / 環境支援 / 評価システム / 再発リスク / ストレングスモデル
研究実績の概要

平成28年度は,統合失調症者の再発防止に必要な環境要因の内容的妥当性を明らかにすることを目的とした研究を実施した.具体的には,包括的環境要因調査票の構成概念を原案として,評価項目の内容的妥当性や評定基準を検討する予定であった.しかし,国内外の関連研究の精査から,統合失調症者を対象とした包括的環境支援には,環境によるエンパワメントを通して,リカバリーのプロセスを支援するストレングスモデルを活用する必要性が明らかとなった.
ストレングスモデルの有用性について,Bjorkmanら(2002)による精神障害者を対象としたランダム化比較試験を通して,ケア必要度の低下,入院期間の減少,サービス満足度の向上という効果が示されている.また,重度の精神障害者を対象としたAssertive community treatment (ACT)との治療効果の比較においても,ストレングスアプローチはACTより有意に症状を改善させることが明らかとなっている(Barryら,2003).
包括的環境支援評価システムの開発においては,Rappら(2011)が提唱したストレングスアセスメントのツールを参考にした.このツールは,「家/日常生活」「財産・経済/保険」「就労/教育/専門知識」「支援者との関係性」「快適な状態/健康」「レジャー/余暇」「スピリチュアリティ/文化」の7つの生活領域に対して,「過去」「現在」「未来」という3つの時間軸より評価するものである.
本研究では,各生活領域に対して,過去から現在の環境のストレングスを観察や面接によって明らかにし,各領域における将来の願望を聴取する.そして,それらの願望を達成するために環境がどのくらい充実しているのか7件法で客観評価できる評価シートの暫定版を作成した.平成29年度は暫定版評価シートを実際のクライエントに実施し,評価システムの初版を開発する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度はNominal group techniqueを実施するための検討資料を作成し,包括的環境要因調査票の構成概念を原案とした評価項目の内容的妥当性や評定基準を検討する予定であった.しかし,国内外の関連研究の精査を通して,統合失調症者を対象とした包括的環境支援には,環境によるエンパワメントを通して,リカバリーのプロセスを支援するストレングスモデルを活用する必要性が明らかとなった.そこで,評価項目や評定基準の検討方法を変更し,ストレングスモデルを参考にした評価シートの暫定版を作成したために研究の進行が遅延した.

今後の研究の推進方策

現在,包括的環境支援評価システムのベースとなる暫定版評価シートの評価項目と評定基準を実践場面で検討している.この検討と並行して調査研究の準備を進め,速やかに調査を実施することによって評価システムの構築を促進する.対象者数が不足する場合,または再発・再入院との因果関係を十分に検討できない場合は,ベイズモデリングなどの手法を活用して分析する予定である.

次年度使用額が生じた理由

今年度はNominal group techniqueを実施するための検討資料を作成し,包括的環境要因調査票の構成概念を原案とした評価項目の内容的妥当性や評定基準を検討する予定であった.そのために,Webアンケートシステムの構築や検討メンバーとの打ち合わせに必要な予算を計上していたが,評価項目や評定基準の検討方法を変更したために,経費の執行金額が減少した.

次年度使用額の使用計画

次年度に繰り越した使用額は,包括的環境支援評価システムのベースとなる暫定版評価シートの評価項目と評定基準を実践場面で検討するための研究補助者に対する打ち合わせ費用や謝金として使用することを予定している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 高齢者に適用する包括的環境支援地域連携クリニカルパスの開発-内容的妥当性の検討2017

    • 著者名/発表者名
      籔脇健司,岡本理宏,中原啓太,小林由佳,佐藤健志
    • 雑誌名

      作業療法

      巻: 36 ページ: 64-73

    • 査読あり
  • [学会発表] 高齢者に適用する包括的環境支援地域連携クリティカルパスの開発2016

    • 著者名/発表者名
      籔脇健司,岡本理宏,中原啓太,小林由佳,佐藤健志
    • 学会等名
      第50回日本作業療法学会
    • 発表場所
      札幌市教育文化会館(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-09-09
  • [学会発表] 老人福祉大学に参加する高齢者の環境因子が生きがいに与える影響-CEQとIkigai-9を用いた構造方程式モデリングによる分析2016

    • 著者名/発表者名
      籔脇健司,今井忠則
    • 学会等名
      第58回日本老年社会科学会大会
    • 発表場所
      松山大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-06-12
  • [備考] 吉備国際大学高齢期作業行動科学(籔脇)研究室

    • URL

      http://ceq.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi