• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

地域在住統合失調症者の再発リスクを軽減する包括的環境支援評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K08576
研究機関吉備国際大学

研究代表者

籔脇 健司  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20347280)

研究分担者 京極 真  吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50541611)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード統合失調症 / 環境要因 / 再発リスク / ストレングスモデル / 評価システム
研究実績の概要

平成29年度は,ストレングスモデルに基づく包括的環境アセスメント(Comprehensive Environmental assessment based on Strengths model:CES)の暫定版シートを実際の対象者に実施し,シートの改訂と実施マニュアルの作成を行った.対象者は統合失調症者5名(男性4名,女性1名)で平均年齢は56.2歳であった.また,直近の退院日からの経過日数は平均176.2日であり,主な利用サービスは精神科デイケア2名,施設入所支援(自立訓練)2名,精神科訪問看護1名であった.
暫定版シートは生活領域7項目で構成され,参与観察や自然な会話で将来の願望・熱望と環境のストレングスを明らかにする.さらに,本人が優先する願望・熱望を4つ以内でその順位とともに確認する.そのうえで,各生活領域の願望・熱望を実現するための環境の充実度を5件法(3点から-1点)で評定する.暫定版シートでは,比較検討のために本人評価と客観評価の評定をそれぞれ行う.
対象者5名にこの暫定版シートを実施した結果,本人が最も優先する願望・熱望は,生活領域別に「就労/教育/専門知識」2名,「支援者との関係性」2名,「快適な状態/健康」1名,「スピリチュアリティ/文化」1名であった(2つの生活領域を1位とした者あり).評定合計は本人評価で最高16点,最低1点,客観評価で最高16点,最低7点であった.
これらの結果をふまえ,研究代表者や分担者,データ収集担当者3名でCESシートの改訂作業を行った.主な改訂内容は,「休息/睡眠」の生活領域追加,将来の願望・熱望の確認方法変更,評定の変更(「十分ある」4点,「ある」3点,「少しある」2点,「ほとんどない」1点,「全くない」0点)であった.平成30年度はCESシートを活用した調査研究を実施し,再発・再入院と環境の充実度との因果関係を検討する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究課題の申請当初は,3年間の研究期間内に地域在住統合失調症者の包括的環境支援評価システムを開発し,対象者の追跡調査から1年間の再発・再入院の有無と環境要因との因果関係を明らかにする予定であった.しかし,平成28年度に環境によるエンパワメントを通して,リカバリーのプロセスを支援するストレングスモデルに評価システムの構成概念を変更した.
平成29年度は,新たに作成したストレングスモデルに基づく包括的環境アセスメント(Comprehensive Environmental assessment based on Strengths model:CES)の暫定版シートを試行し,シートの改訂と実施マニュアル作成に取り組んだことから,地域在住統合失調症者の再発・再入院の有無と環境要因との因果関係を明らかにする追跡調査を完了することができなかった.そこで1年間の補助事業期間延長を申請し,承認された.

今後の研究の推進方策

完成したストレングスモデルに基づく包括的環境アセスメント(Comprehensive Environmental assessment based on Strengths model:CES)のシートを用いた大規模調査を実施する.また,対象者の追跡調査から統合失調症者の再発・再入院の有無と環境要因の充実度との因果関係を明らかにする.対象者数が不足する場合,あるいは再発・再入院の有無との因果関係を十分に検討できない場合は,ベイジアンアプローチなどを活用して,分析する予定である.

次年度使用額が生じた理由

(理由)
平成29年度は,包括的環境支援評価システムで用いる評価シートを用いた大規模調査,および,地域在住統合失調症者の再発・再入院の有無と環境要因との因果関係を明らかにする追跡調査を実施する予定であった.そのため,施設責任者,スタッフとの打ち合わせ旅費や対象者への謝礼商品券の購入等に使用する予算を計上していたが,全ての調査を完了することができなかったために経費の執行金額が減少した.
(使用計画)
平成30年度に繰り越した使用額は,研究打ち合わせ旅費や調査対象者謝礼への使用に加えて,研究成果を発表するための外国旅費や研究室のホームページ管理費用に使用することを予定している.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Application of the comprehensive environmental questionnaire for older adults requiring support for community-living2018

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Nakamura-Thomas, Makoto Kyougoku, Kenji Yabuwaki
    • 雑誌名

      British Journal of Occupational Therapy

      巻: 81 ページ: 147-153

    • DOI

      10.1177/0308022617740851

    • 査読あり
  • [学会発表] 要支援高齢者の役割遂行が健康関連QOLに及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      佐野裕和,籔脇健司
    • 学会等名
      第30回岡山県作業療法学会
  • [学会発表] 軽度要介護高齢者の精神的健康に影響を及ぼす環境要因2017

    • 著者名/発表者名
      籔脇健司,岡英典,河本良二,岩田美幸
    • 学会等名
      第51回日本作業療法学会
  • [学会発表] 要介護高齢者の役割遂行と環境が健康関連QOLに与える影響-身体機能の影響を含む包括的検討2017

    • 著者名/発表者名
      佐野裕和,籔脇健司,佐野伸之
    • 学会等名
      第51回日本作業療法学会
  • [学会発表] MTDLPによる介入効果を高めるためのCEQの活用2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤竜司,佐久間大輔,籔脇健司
    • 学会等名
      第51回日本作業療法学会
  • [図書] 作業療法を観る2017

    • 著者名/発表者名
      菊池恵美子,齋藤佑樹,石橋裕,稲村卓哉,中原啓太,籔脇健司,中本久之,下岡隆之,齋藤正洋,酒井ひとみ
    • 総ページ数
      130
    • 出版者
      シービーアール
    • ISBN
      978-4908083167
  • [備考] 吉備国際大学高齢期作業行動科学(籔脇)研究室

    • URL

      http://ceq.jp/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi