研究課題/領域番号 |
15K08577
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
神田 玲子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線防護情報統合センター, センター長(定常) (40250120)
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研究分担者 |
大津留 晶 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00233198)
細谷 紀子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (00396748)
續 輝久 九州大学, 医学研究院, 教授 (40155429)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医学教育 / 放射線リスク / リスクコミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、医学部における放射線の健康リスク教育の必修化に向けて、大学の実態を調査し、個々の事情に応じて適切な教育を提供する教育システムをパッケージとして提案することを目的とする。計画策定時は、日本学術会議がこうした提言を発出した段階であったが、その後、国立大学医学部長会議が放射線の健康リスク科学教育の必修化WGを立ち上げ、平成28年度には文部科学省が「課題解決型高度医療人材養成プログラム」のテーマに「放射線災害を含む放射線健康リスクに関する領域」を定めるなど、社会的状況も大きく変化した。そこで今年度は、本研究の遂行に当たり、こうした社会的動きと連動し、1)必修化のための課題解決に向けた合意形成、2)教育内容の精選と標準カリキュラムの作成、3)講義用テキストの作成準備を行った。それぞれの進捗は以下の通り。
1)日本放射線影響学会第59回大会において、「医学部における“放射線影響リスク科学”教育の推進の現況と課題」と題したワークショップを開催し、人材育成や医学教育、臨床医学等様々な視点から、課題を抽出し、その解決策を議論した。 2)今年度に行われた医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に際し、国立大学医学部長会議WGを介して、カリキュラム案を提案した。また文科省の高度医療人材育成プログラムに採択された大学に対し、「リスクコミュニケーション」の教育内容や手法について提案を行った。 3)放射線影響リスク科学の柱である「生体と放射線」「医療放射線と生体影響」「リスクコミュニケーション」「放射線災害医療」のうち、教材が不足しているリスクコミュニケーションに関する教材作成を開始した。教材の一つとなり得るWHOの刊行物〝Communicating radiation risks in paediatric imaging”に(2016年出版)の日本語翻訳の契約を締結した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本学術会議放射線防護・リスクマネジメント分科会や国立大学医学部長会議WGおよびに日本放射線影響学会と連携して活動することにより、放射線の健康リスク教育の必修化の社会的合意が形成され、改訂された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」には新たに「放射線の生体影響と放射線障害」と言う項目が加えられた。こうした一連のプロセスにおいて、教育内容の精選と標準カリキュラムの議論を行い、学術コミュニティ全体の合意を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の活動において、教育現場における問題点として、リスクコミュニケーションの教材不足が指摘され、学年に応じた教育手法の開発が急務であることが明らかになった。そこで最終年度はリスクコミュニケーション用の教材作成に注力する。また文部科学省の高度医療人材養成プログラムに採択された大学の協力を得て、教材の妥当性について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度作成した標準テキストについては、改訂されたモデル・コア・カリキュラム(平成29年3月31日公表)と照合し、内容が適合していることを確認した後、次年度に出版や公表を行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
医学生の標準教材または副読本の印刷に用いる。
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