研究課題/領域番号 |
15K08580
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長(予防医学) (40335443)
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研究分担者 |
大原 こころ (津崎こころ) 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (80450881)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 糖尿病予防 / ヘルスプロモーション / 減量 / 体重測定 |
研究実績の概要 |
本年度は、家族や地域を巻き込んだ糖尿病予防プログラム内容の検証とその効果を検証した。糖尿病予防に有効とされているのは減量と運動習慣の獲得に加え、野菜摂取と摂取である。そこで、地域住民が最も興味を持っているが、なかなか実行できていない「減量」に焦点を当てることとした。減量目標は、肥満体重の5%減では計算が煩雑であり、わかりにくいために、60㎏の5%に相当する「3㎏減」とした。地域住民にとって、「1,2㎏の減量はできそうだが、すぐにリバウンドしてしまう。3㎏の減量だと真剣に取り組まねばならない。」という心理が働くと考えられた。また、自治体の保健指導や健康教室は健診終了後の夏から秋に行われることが多いが、イベントが多い年末年始にリバウンドしてしまうことはよく経験する。そこで、年末年始をまたぐ11月にスタートし、2月に報告する3か月の期間に限定した。家族や地域を巻き込むためには、わかりやすいネーミングやキャッチフレーズが大切となる。キャッチフレーズは、3か月で3㎏やせる、略して「サンサン」チャレンジとした。申し込み方法の工夫として、保健センターでの直接申し込みだけではなく、協賛店を募集し、インセンティブを個々に設定してもらった。さらに、インターネットからの申し込みも可能とした。痩せの者がさらに減量に取り組むことはフレイルの観点から勧められないため、参加基準はBMI23以上とした。介入方法はシンプルな朝と晩の体重測定の推進とした。314名の平均年齢は57.5歳、平均BMIは26.3で、男性の割合は39.5%で、普段は教室に来ないような男性や若年・中年者の割合が多かった。インターネットからの申し込み率は13.4%であった。減量結果の報告率は81.2%と実行可能性が高く、3㎏以上の減量成功者の割合は38.8%と我々の従来のダイエット教室と遜色ない結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
家族や地域を巻き込んだ糖尿病予防プログラムが完成し、その実行可能性と有効性が高いことが証明されたため。
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今後の研究の推進方策 |
本プログラムの短期的(3か月間)な有効性と実行可能性は証明されたが、長期的な有効性は明らかでない。さらに、体重は減っても、血糖や血清脂質に及ぼす影響は明らかでない。平成29年度は、本プログラムの長期的な有効性について、1年後の健康診断のデータを用いて解析する。安全に配慮するために、被験者の選定基準は年齢(20歳以上、75歳未満)、性別は問わず、体格指数(BMI)23以上とした(BMI23以上で介入効果が高いため、また、痩せているものを参加させないため)。介入群の、前後の調査項目として、糖尿病に関する知識(血糖、HbA1cなど)、糖尿病予防に関連する生活習慣(体重測定、運動習慣、野菜摂取頻度、飲酒量と飲酒頻度)をとる。介入はシンプルな朝と晩の体重測定をするキャンペーンを展開する。歩数計の装着も推進する。介入期間は11月から2月の年末年始をまたぐ期間に実施し、開会式(講演、サンサンサポーターの紹介)、自宅での体重測定や歩数測定、メールマガジンの定期的な送信(はげまし)、ホームページ上に健康的に減量や糖尿病予防するコツをアップ、表彰式、などとする。オプションとして、食事や運動講座を開催する。サンサンチャレンジ協賛店を募集し、健康会員証を提示すると、個々にインセンティブ(特典)を受けられるようにする。対照群は、介入群の被験者と年齢・性をマッチさせた健康診断受診者とする。統計解析は、男女に分けて解析し、体重、腹囲、血圧、血糖、HbA1c、血清脂質(中性脂肪、HDLコレステロール)の変化を両群で比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は介入に関する人件費等が当初の計画より減少した為である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に関わる人件費、介入研究開発、成果発表に関わる旅費等に使用予定である。
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