研究課題/領域番号 |
15K08582
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
本間 大 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (50344578)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 乾癬 / ポドプラニン / レクチン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は本研究の目的は、わが国で自生する落葉樹で、伝統的に生薬としてもその成分が用いられてきたエンジュから抽出した精製レクチン(Maackia amurensis seed lectin, MASL)の各種皮膚疾患に対する有効性をあきらかにすることである。特にエンジュ由来レクチンのポドプラニン分子に対する特異的な機能に注目し、培養細胞および疾患モデルを用いた実験系でその機能について解明し、その臨床応用の可能性について探求するものである。現在までに我々は乾癬表皮表皮基底層においてポドプラニン分子の発現が亢進していることを示しているが、今年度、通常培養細胞系、3次元培養系を用いて以下のような検討を行った。通常培養系においては、ポドプラニンを高発現する有棘細胞癌由来細胞を用いて、ポドプラニンが培養液中に可溶化されるか否かについて検討を行った。3次元培養系を用いた検討では、乾癬表皮の肥厚に関わるIL20 ファミリーに属するIL22、IL24を用いて検討を行った。この結果、3次元培養表皮においてもIL22、IL24添加時にポドプラニン分子の発現が誘導されることが明らかとなった。興味深いことに、通常培養系における表皮角化細胞では通常の状態でポドプラニンの発現が増強した状況にあることが同時に示された。この結果からは、ポドプラニンは増殖が亢進した状況で誘導される可能性が高いことが示された。また、IL22を添加した3次元培養表皮では表皮肥厚がみられるが、MASLを添加した際にはIL22添加表皮特異的に表皮肥厚が抑制されることが示された。以上の結果から、ポドプラニンは乾癬治療のターゲット分子となりうる可能性が示されていると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究結果について再現性を確認するため、新たなshRNAベクターを作成した上で、 研究を継続予定であるが、このベクター作成にやや時間を要している。 なお、現在このベクターを作成し、表皮角化細胞においてノックダウン可能か否か検討中であ る。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果について再現性を確認するため、新たなshRNAベクターを作成した上で、研究を継続予定である。 特にこれまでに得た、表皮角化細胞におけるポドプラニン分子の発現状況による細胞外マトリックスとの接着性の変化について複数のベクターを用いてノックダウンを行い、表皮角化細胞におけるポドプラニンの機能についてin vitroでの実験を継続する。 また、悪性腫瘍の進展抑制については経口投与したMASLが有効であることが示されており、マウス乾癬モデルであるイミキモド塗布モデルを用いてMASL経口投与の有効性について、さらに検討し、治療効果についてin vivoでも確認を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行がやや遅れており、研究発表や論文発表にかかる経費の計上がなかったことによるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では研究上必要な物品購入および学会および論文発表に要する経費として使用する予定である。
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