研究課題
本研究の目的は本研究の目的は、わが国で自生する落葉樹で、伝統的に生薬としてもその成分が用いられてきたエンジュから抽出した精製レクチン(Maackia amurensis seed lectin, MASL)の各種皮膚疾患に対する有効性をあきらかにすることである。特にエンジュ由来レクチンのポドプラニン分子に対する特異的な機能に注目し、培養細胞および疾患モデルを用いた実験系でその機能について解明し、その臨床応用の可能性について探求するものである。現在までに我々は乾癬表皮表皮基底層においてポドプラニン分子の発現が亢進していることを示しているが、3次元培養系を用いた検討では、乾癬表皮の肥厚に関わるIL20 ファミリーに属するIL22、IL24を用いて検討を行った。この結果、3次元培養表皮においてもIL22、IL24添加時にポドプラニン分子の発現が誘導されることが明らかとなった。IL22を添加した3次元培養表皮では表皮肥厚がみられるが、MASLを添加した際にはIL22添加表皮特異的に表皮肥厚が抑制されることが示された。以上の結果から、ポドプラニンは乾癬治療のターゲット分子となりうる可能性が示されていると考える。また、今年度、イミキモド誘導性乾癬様皮膚炎モデルマウスを用いてMASLの効果を確認したところ、MASL投与群で乾癬様皮膚炎形成が抑制される傾向を見出した。今後さらに研究を継続し、動物モデルにおけるMASLの有効性について検討し、治療薬としての可能性について解析を行いたい。また、臨床の乾癬治療においてTh17系サイトカインを抑制した場合に、Th2サイトカインが増強する傾向がみられることが示唆され、こうしたサイトカインスイッチに本分子が関与するのか否かについても今後のあらたな検討課題と考えている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件)
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