研究課題/領域番号 |
15K08594
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安藤 仁 金沢大学, 医学系, 教授 (50382875)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 概日リズム / 体内時計 / 時計遺伝子 / 肥満 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
近年、体内時計の障害は生活習慣病をもたらすことが明らかになってきたが、交替勤務や夜勤のために体内時計の乱れが止むを得ない人々に対する方策は未だない。そこで本研究では、中枢時計が乱れたままでも制御が可能な末梢時計に着目し、末梢時計が特異的に障害された動物モデルにおける糖・脂質代謝の変化を、全身性および中枢時計特異的体内時計障害モデルと比較する。さらに、末梢時計障害モデルにおいて末梢時計制御薬の代謝改善効果を確認することにより、末梢時計障害の病態生理学的意義を解明し、同時にその治療法を開発することを目的とする。本研究の成果は、現代病である生活習慣病の効果的な予防法の開発につながることから、社会的に大きく貢献するものと期待できる。 平成27年度は、まず、照明条件を変更した全身性体内時計障害モデルを確立した。マウスを3時間明期:3時間暗期の照明条件下で飼育すると、12時間明期:12時間暗期のままで飼育した対照群と比べ、若齢期には一過性の体重増加を認めた一方、生体期には体重への影響を認めなかった。また、体重増加の有無にかかわらず、耐糖能への悪影響を認めた。これらの影響は高脂肪食負荷時にはより顕著であった。さらに、肝臓特異的時計遺伝子欠損マウスでは耐糖能への影響は認められなかった。以上より、本モデルは末梢(脂肪細胞・肝)体内時計障害の病態生理を解析するのに適したモデルであることが判明した。 平成28年度は、末梢時計特異的障害モデル作製の準備を整えるとともに、褐色脂肪細胞における体内時計の病態生理学的意義を明らかにするためのモデルの開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、平成28年3月に所属研究機関が変更となったため、本研究に必要な実験設備やマンパワーをすぐには整えることができず、平成28年度前半は大幅に研究の進行が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度後半までに本研究に必要な実験設備をほぼ整備できたため、現在は研究を再開できており、大きな問題はない。今後は、予定していた実験を継続し、末梢時計特異的障害の病態生理学的意義を明らかにする。さらに、これまでの肝細胞や白色脂肪細胞に加え、褐色脂肪細胞に着目した解析や、研究代表者が見出した末梢時計治療薬が末梢時計を制御する分子メカニズムを解明するための研究も実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属研究機関の異動に伴い、研究の進行が遅れたために、予定の経費を使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、平成28年度にできなかった実験も含めて研究を実施するため、最終的には予定通りの支出が必要になる見込みである。
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