研究課題/領域番号 |
15K08600
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
勝見 英正 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (30434666)
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研究分担者 |
山本 昌 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬学 / 薬剤学 / 薬物送達システム / ナノ粒子 / 白金 / 化学修飾 / 活性酸素 / 癌 |
研究実績の概要 |
本研究は前立腺癌選択的に優れた活性酸素消去能を示す体内動態制御型金属ナノ粒子を創製することによる新たな転移性前立腺癌治療の構築を目指すものである。 初年度の平成27年度では、活性酸素消去能を有する金属ナノ粒子の体内動態制御を目的として、金属ナノ粒子への化学修飾法の開発に取り組んだ。まずはじめに、われわれが開発した活性酸素消去能を有する白金ナノ粒子への化学修飾を試みた。様々な官能基を利用して白金ナノ粒子へのPEGなどの機能性分子の導入を試みたが、白金は反応性に乏しく導入効率が極めて低かった。そこで、様々な官能基との反応性に優れる金と白金の合金粒子を作製し、金を介した化学修飾法を新たに開発した。すなわち、合金粒子へPEG誘導体を添加したところ、合金粒子表面に高効率にPEGが結合したPEG修飾合金ナノ粒子が得られた。以上のように金との合金ナノ粒子を調製することで、金属ナノ粒子表面に機能性分子を導入する方法を新たに構築することに成功した。このPEG修飾合金ナノ粒子の粒子径は約40 nmであった。蛍光プローブ法を利用して、PEG修飾合金ナノ粒子の水溶液中でのヒドロキシラジカル及び過酸化水素に対する消去能を評価したところ、PEG修飾合金ナノ粒子は未修飾合金ナノ粒子とほぼ同等の消去能を示した。また、WST-1法を用いて水溶液中でのスーパーオキサイドに対する消去能についても評価したところ、PEG修飾合金ナノ粒子はスーパーオキサイドアニオンに対しても消去能を示した。これらのことから、合金粒子には様々な活性酸素に対して消去活性があり、その消去活性は機能性分子の修飾の影響を受けないことが示された。以上、活性酸素消去能を有する合金ナノ粒子の開発、合金ナノ粒子の化学修飾法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では、活性酸素消去能に優れる金属ナノ粒子への化学修飾法を開発することが目標であった。これまでに、金属ナノ粒子への化学修飾法の構築、活性酸素消去能に優れる化学修飾金属粒子の開発に成功しており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までに、活性酸素消去能に優れる金属ナノ粒子への化学修飾法の開発に成功した。そこで平成28年度では、生体内における体内動態を評価するとともに、酸化ストレス条件下におけるPEG修飾合金ナノ粒子の活性酸素消去能を評価する。生体内における体内動態制御ならびに活性酸素消去能が確認できれば、前立腺癌マウスモデルを作製し、PEG修飾合金ナノ粒子の腫瘍移行性ならびに治療効果について系統的に評価していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究に係る支出の残金として次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の助成金と合せて、次年度に計画している研究の物品費として使用する予定である。
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