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2016 年度 実施状況報告書

活性酸素消去による転移性前立腺癌治療を目指した体内動態制御型白金ナノ粒子の創製

研究課題

研究課題/領域番号 15K08600
研究機関京都薬科大学

研究代表者

勝見 英正  京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (30434666)

研究分担者 山本 昌  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード薬学 / 薬剤学 / 薬物送達システム / ナノ粒子 / 白金 / 活性酸素 / 化学修飾 / 体内動態制御
研究実績の概要

本研究は前立腺癌選択的に優れた活性酸素消去能を示す体内動態制御型金属ナノ粒子を創製することによる新たな転移性前立腺癌治療の構築を目指すものである。
平成28年度では、昨年度に開発した化学修飾法を利用した金属ナノ粒子の体内動態制御を試みた。すなわち、化学修飾を施した金属ナノ粒子のマウスにおける体内動態を系統的に評価し、化学修飾により金属ナノ粒子の体内動態制御が可能かどうか検討した。
活性酸素消去能を有する白金及び金の合金粒子へポリエチレングリコール(PEG)を結合させたPEG修飾金属ナノ粒子を調製した。マウスにおける体内動態は、尾静脈内投与後の臓器中白金量をICP-MSで測定することにより評価した。未修飾金属ナノ粒子はマウス尾静脈内投与後、速やかに肝臓中へ移行し、投与量の80%以上が肝臓中へ集積した。これは肝臓のクッパー細胞へ取り込まれたことによるものと推察される。一方、PEG修飾金属ナノ粒子は、静脈内投与後、高い血中滞留性を示し緩やかに血中から消失した。PEGが形成する水和層が金属粒子表面を覆うことによりクッパー細胞への取り込みが抑制されたことによるものと考えられる。このような、活性酸素消去能を有する金属ナノ粒子の化学修飾法による体内動態制御はこれまで、ほとんど報告例がないことから、本研究で開発した化学修飾法は金属ナノ粒子のDDS開発に対して有用な基盤技術になるものと考えられる。一方、未修飾金属ナノ粒子は癌増殖を抑制可能であることを確認した。以上のことから、本研究成果をさらに発展させることにより、金属ナノ粒子のDDS開発による活性酸素消去を介した効率的な前立腺癌治療が可能になるものと考えている。以上、活性酸素消去能を有する金属ナノ粒子への化学修飾法の開発、化学修飾による金属ナノ粒子の体内動態制御に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度では、化学修飾を利用することで、活性酸素消去能に優れる金属ナノ粒子の体内動態制御を実現することが目標であった。これまでに、金属ナノ粒子への化学修飾法の構築、PEG修飾による金属ナノ粒子の血中滞留性向上に成功しており、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

平成28年度までに、活性酸素消去能に優れる金属ナノ粒子への化学修飾法の開発、化学修飾による金属ナノ粒子の体内動態制御に成功した。そこで平成29年度では、前立腺癌で選択的にPEG修飾が脱離するprostate cancer-specific cleavable PEGシステムを構築し、前立腺癌での金属ナノ粒子の活性酸素消去能が増強するシステムを構築する予定である。また、PEG 前立腺癌マウスモデルを作製し、PEG修飾合金ナノ粒子の腫瘍移行性ならびに治療効果について系統的に評価していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究に係る支出の残金として次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度の助成金と合わせて、次年度に計画している研究の物品費として使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Pharmacokinetics and preventive effects of platinum nanoparticles as reactive oxygen species scavengers on peritoneal dissemination of tumor cells.2016

    • 著者名/発表者名
      勝見英正 他
    • 学会等名
      43th Annual Meeting & Exposition of the Controlled Release Society
    • 発表場所
      Washington State Convention Center (Seattle, USA)
    • 年月日
      2016-07-17 – 2016-07-20
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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