研究課題
【臨床試験:新規腎障害予防補助法としてのALAの安全性の確立】本臨床試験は、ショートハイドレーション法を用いたS-1+CDDP療法に5-アミノレブリン酸(ALA)を併用し、腎障害予防補助法としてのALAの安全性を示す(川崎医科大学倫理委員会承認001847号)。ショートハイドレーションにより得た安全性に加えて、ALA群においてシスプラチン治療前後の腎機能障害をはじめとした有害事象発生率に差が無いことを示す。S-1+シスプラチン+ALA併用;S-1をday1から21日間投与、CDDP 60 mg/㎡をday8に投与。5-ALA 1回100 mgを朝昼晩3回内服。CDDP投与4日前のday4からCDDP投与日(day8)を含めてday16まで内服。S-1はday1から21日間連日経口投与。2週間の休薬期間を含め5週を1コースとし、2コース目以降実施基準をみたす症例についてS-1+CDDP+ALA療法のShort hydrationを行う。倫理委員会承認を受けて症例登録を開始した。現在ALA投与による明らかな有害事象は報告されていない。本年度も引き続き症例登録を推進していく予定である。【非臨床試験:ALAによるシスプラチン腎障害の抑制効果の検証】ラット腎障害モデルに対して、大量補液とALA投与が同様の病理学的機序でラットモデルにおいて腎障害を防止し得るかどうかを検索する。シスプラチンを腹腔内投与したラットをコントロール群、ハイドレーション群、ALA投与群の3群に分けるが、本年度は各群の条件設定に引き続き、非臨床試験における有害事象の定量化とその解析手技の確定を行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、症例登録を開始した。同意書を取得し、実施基準をみたす症例に対して、S-1+CDDP+ALA療法のショートハイドレーション法を開始している。試験中止を検討するようなALAによる明らかな有害事象は報告されていない。
川崎医科大学倫理委員会承認をうけ、初年度は安全性を重視して主幹施設である川崎医科大学附属川崎病院で症例登録とプロトコル治療を開始したが、本年度以降は多施設共同研究として、切除不能または再発胃癌患者に対するショートハイドレーション法を用いたS-1+CDDPの認容性試験に参加している他施設に本試験の参加を募り、早期に目標症例数の達成を目指す。非臨床試験においては、ラット腎障害モデルに対して、大量補液とALA投与が同様の病理学的機序でラットモデルにおいて腎障害を防止し得るかどうかを検索するため、早急に基礎データの解析を進める。
多施設共同研究を進めるため、昨年度は他施設でのプロトコル説明、連絡、打ち合わせに関わる交通費や消耗品等の経費が必要となる予定であったが、参加施設の倫理委員会申請に数か月の期間を要することが判明したため、当該経費を使用しなかった。
次年度は多施設共同試験として症例登録、解析、連絡および調整に関わる費用がさらに必要となる。また、非臨床試験の遂行のために実験動物購入費および試薬の購入費用が必要となる。あわせて研究成果発表にあたり旅費等も必要となる予定である。
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