研究課題/領域番号 |
15K08611
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西村 基 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80400969)
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研究分担者 |
佐藤 守 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20401002)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臨床検査医学 / イムノアッセイ / 質量分析 |
研究実績の概要 |
本研究においては申請時に述べた通り、平成27年度においては、免疫複合体より測定対象系である抗原(ペプチド・たんぱく質)を簡便に分離する方法の確立を行った。既存のイムノアッセイは定量を目的としたものが多く、既存の検出系(濁度計など)で明確に検出するため、免疫複合体中の抗原と抗体の質量比は大きく抗体側に傾いている。したがって単純に免疫複合体を質量分析の対象としても、観察されるのは抗体由来の部分が大半を占めると思われ、やはり適切・簡便な前処理を行って抗体成分を減少させることが重要と考えられる。 申請時には低濃度のSDSと加熱により抗体を変性させ、その後、限外ろ過で高分子量の抗体を除去できる可能性を示した。繰り返し実験を行うと、除去できることが多い物の、無視できない回数で除去に失敗し、再現性が悪いことが判明した。したがってこれも申請時に述べたとおり、抗体を固相化する方法に切り替えることで再現性および除去効率の改善に取り組んだが、改善は乏しかった。 数々の方法にチャレンジした結果、結局もっとも再現性良く除去が見込める方法は、輸血検査で用いられている方法にヒントを得た、酸で免疫複合体を処理した上で限外ろ過を行う方法であった。抗体成分を完璧に除去できるとまではいかないものの、処理前の免疫複合体では大きく抗体側に傾いている抗原と抗体の質量比を、この比較的簡便な処理により再現良く大幅に改善する事が可能であった。 100%純粋な抗原が得られなくとも、精密測量を観測するという質量分析計の特性から、この程度の粗精製物でも質量分析で解析対象にすることは可能と考えられ、目下、再現性の良い、前処理後の質量分析プロトコールの確立に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H27年度半ばに、申請時の申請書に記した研究協力者のS.T.Nが出産のため産休を取得したため進捗状況のペースが落ちたことは否めない。 さらに、研究実績の概要で述べた通り、当初「免疫複合体のMS(質量分析)前処理法」として採用する予定であったSDS処理の、前処理として用いた際の再現性の悪さが判明したため、代替法(これも述べた通り、酸処理)の開発を行ったため、やや遅れたところがある。 S.T.Nの産休が終了し現在、研究に復帰していること及び代替法の開発により、今後は予定通りの進捗が見込めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べた通り、代替法の開発に要した期間はあるが、それを除けば今後は予定通りの進捗を見込んでいる。 具体的には予定通り、臨床検査試薬・研究的イムノアッセイの検出系を質量分析器とすることで、Immuno-MS化を手掛けていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度半ばに、申請時の申請書に記した研究協力者のS.T.Nが出産のため産休を取得したため本研究の進捗状況のペースが落ちたことは否めない。 反面、産休で実験が滞った分の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者のS.T.Nは既に産休より研究に復帰しており、順次、必要な実験を実施するに伴い、「次年度使用額」により試薬を購入する予定である。
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