研究課題
本研究においては、これまでの研究実施報告書において述べた通り、免疫複合体より測定対象系である抗原(ペプチド・たんぱく質)を分離し測定する方法の検討を継続して行った。申請時には低濃度のSDSと加熱により抗体を変性させ、その後、限外ろ過で高分子量の抗体を除去できる可能性を示した。しかしながら、この手法は再現性が悪いことが判明し改善に取り組んだが、改善は乏しかった。数々の方法にチャレンジした結果、結局もっとも再現性良く除去が見込める方法は、酸で免疫複合体を処理した上で限外ろ過を行う方法であった。この方法では再現良く免疫複合体より測定対象である抗原(ペプチド・たんぱく質)を分離し粗精製物を得る事が可能であった。しかしながら、比較的夾雑物に強いといわれているMALDI-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析)を用いても、理想的条件では測定対象の質量分析が可能な物の、条件を振るとデータが不安定で十分な再現性を得る事が困難であた。ペプチド(あるいはタンパク質)免疫複合体の質量分析前処理法としては既に実績のあるLC(液体クロマトグラフ)が現実的であると結論せざるをえなかった。一方、免疫複合体よりの精製物を質量分析の対象とするだけでは無く、より広く腫瘍分泌物、肝疾患マーカー、神経難病(平山病)、ビタミンD代謝物について質量分析研究を行った。ビタミンDについては、本邦において類例のほとんどない大規模他施設共同研究で中心的な役割を果たし、日本人における血中濃度分布の報告を行った。MALDI-MSについては、細菌同定検査においては特殊なポリマーを用いる事で簡易な質量分析前処理法によって臨床検査レベルの成績が得られることを示しており、100%本申請の目的に一致するわけではないが、質量分析前処理の分野で、LCを用いない手法の開発を行い、類似した目的の達成に貢献している。
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