研究課題/領域番号 |
15K08612
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
北島 勲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50214797)
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研究分担者 |
仁井見 英樹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (50401865)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 先端検査デバイス / 転写因子 / 炎症 / 蛍光相関分光法 / 発現プロファイル |
研究実績の概要 |
本研究は、物質のブラウン運動が測定できる蛍光相関分光法(FCS法)を改良し、生体材料から転写因子を迅速に定量測定できる方法を開発し臨床応用することが目的である。そこで、細胞内転写因子定量測定をを確立しその測定精度を高めるための検討を行った。1)細胞(培養細胞、リンパ球)から核蛋白を抽出し、転写因子NF-κBの測定精度をための条件として、ヘパリン採血、EDTA採血とも問題にないこと、核蛋白保存条件は-80℃以下に保つ必要のあることを確認した。2)FCS測定は、MF20(オリンパス社)を利用した測定プロトコールを定めた。MF20の測定プログラムは1成分計算が搭載されているは、生体材料測定には2成分モデルへデータ計算を変更する必要がありそのプログラム変更を確定した。次に、細胞反応性は、複数の転写因子の活性調節により成り立っているため、転写因子活性化プロファイル解析が重要になってくる。転写因子発現プロファイルは、DNA-核蛋白アレイ(TF-activation profiling plate array 1, Signosis ,Inc)による48種類の転写因子発現プロファイル解析が研究室レベルで実施されている。しかし、アレイ解析は半定量結果しか得られず測定に時間を要するため、転写因子プロファイル発現の定量化にこのFCS応用を考え研究を進めている。平成27年度は、測定結果の検証を進める基盤となる転写因子NF-κBシグナル伝達系の異なる細胞株を樹立した。現在、この細胞株Fを用いた転写因子発現プロファイル解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光相関分光法(FCS法)は1分子計測技術であり、われわれはオリンパス社製MF20機器を利用している。測定には振動や埃の困窮を極力さける必要があるが、平成27年度は富山大学医学部全体が耐震工事と重なり、機器を装備している研究室は、耐震工事のため、機器測定が不能となり、工事終了後は機器調整に時間が長時間費やされた。そのため、MF20を用いた臨床検体の解析は遅れているが転写因子解析検証のための基盤に必要な細胞株準備や臨床検体処理を中心に研究をすすめてトータルとして平成28年度までに順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
測定結果の検証のためとプロファイル解析へ展開するために、転写因子NF-κBシグナル伝達系の異なる細胞を利用して分析する必要がある。そこで、IKK2ノックアウトマウスのMEF(Mouse embryonic fibroblast:胎仔由来線維芽細胞)をSV40でトランスフォームさせた不死化細胞株を樹立した。対照としてIKK2f/fの不死化細胞を同じく樹立した。これらMEFを用い、NF-κB発現差をNF-κBp50,p65に対するELISAとFCS法による定量解析でデータ検討を行う。また、これらMEFを用いてIL-1刺激によるIL-6,TNFのmRNA発現差を確認後、DNA/転写因子アレイ(TF-activation profiling plate array 1, Signosis ,Inc)による48種類の転写因子発現プロファイル解析と、cytokine ELISA plate アレイ解析を行い、両者の統合分析を進めて転写因子プロファイル解析を推進する。これらの基礎的検討に加え、炎症性疾患の転写因子解析としてNF-κB発現の疾患への関与を本FCS法を用いて臨床研究を進める計画である。
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