研究実績の概要 |
(1) 大動脈石灰化病変の包括的かつ定量的評価手法の確立 CTの画像解析において、大動脈石灰化の3Dイメージを自在かつ簡便に再構築できる汎用可能な方法を確立し、石灰化の分布および CT 値を評価することで、部位別の評価が定量的に可能となり、観血的な手技に際して、より具体的な情報提供が可能となり、臨床現場へも有用な情報提供が行えるようになった。 総石灰化量や部位別の石灰化の程度の評価に加えて、胸腹部大動脈の石灰化の意義、大動脈石灰化と虚血性心疾患や弁膜症との関連、カルシウム、リン代謝との相関について検討を行ってきた。これらの検討結果は、J Anat. 2017 Jul;231(1):110-120, J Cardiol. 2017 Dec;70(6):545-552, Atherosclerosis. 2017 Oct;265:312-317等に論文報告した。 (2) 大動脈石灰化病変に相関するヒト血液中低分子代謝物プロファイルの確立 研究計画(1)にて大動脈石灰化病変のCT画像評価を受ける症例において、空腹時採血を行い、血清サンプルをガスクロマトグラフ質量分析を用いた低分子代謝物プロファイルに供したところ、大動脈石灰化病変量に有意に相関する代謝物が5つ検出された。これら5つの代謝物を用いた主成分分析を実施すると、大動脈病変石灰化病変量を良好に反映したことから、これら5つの代謝物濃度を組み合わせた関数が、大動脈病変石灰化病変量を評価するバイオマーカーとしての可能性を有することが示唆された。 (3) in vitro 石灰化モデルに相関する低分子代謝物プロファイルの探索 in vitro石灰化モデルにおいて、石灰化形成前後での低分子代謝物変動を解析したが、(2)で得られた血液中低分子代謝物プロファイルとは大きく異なり、成体における状況を反映したモデルとはならなかった。
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