研究課題/領域番号 |
15K08617
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
杉浦 哲朗 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (50171145)
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研究分担者 |
松村 敬久 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (10274391)
森本 徳仁 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (60398055)
高田 淳 高知大学, 教育研究部医療学系医学教育部門, 教授 (90206748)
竹内 啓晃 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (90346560)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 急性冠症候群 / ヘリコバクター・ピロリ / 血小板結合・活性化 / 血小板凝集機序 / ピロリ菌体成分 / ストレス応答 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
ピロリ菌の胃内慢性持続感染は上部消化管疾患のみならず多彩な全身疾患・病態との関連性が認知されている。中でもピロリ関連ITP(免疫性血小板減少症)はピロリ除菌治療が保険適応となったが病態発症機序は不明であった。しかし、我々の研究(ピロリ関連ITPの病態解析)にて、血小板と結合し活性化する菌体成分HP-lppを見出した。そこで、病態進展に血小板の活性化・凝集を伴う急性冠症候群(ACS)におけるピロリ感染および発症機序の解析を行なった。 ACS患者血清にて作成した抗HP-lpp抗体を使用し菌体成分HP-lppの検出を試みた。非感染者からは検出できず、感染者(2/48名)から検出できたことから、本菌体成分は血中に移行する可能性が強く示唆された。 また、本抗体を用いたウエスタンブロットでピロリ菌株(約30株)の本遺伝子保有率を検証した。その結果、全株で保有しており、発症には本成分の血中移行性およびその反応性(抗体産生)の関与が示唆された。H29年度は、遺伝子組み換えでHP-lpp-His融合蛋白を作成し大腸菌内で誘導発現させ健常人(感染者と非感染者)の血小板を用いた血小板凝集試験を行った。結果、感染者・非感染者とも有意な血小板凝集を認め、本HP-lppの血小板への影響を確認できた。(以前はピロリ菌の遺伝子破壊株を使用した検証でも同様であった。) さらに、本成分のピロリ菌体に及ぼす影響を本遺伝子破壊株を作成し、野生株と比較解析した。結果、1.1.5%塩添加培養条件(24時間後)で破壊株は野生株よりも高いviabilityを維持していた。2.形態も野生株のように伸長化せず、破壊株は通常の桿菌を多く認めた。以上より、浸透圧ストレス(osmorality shock)に重要な役割を担っていることが判明した。今後は培養細胞との共培養にて細胞接着性およびサイトカイン誘導性を解析する。
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