研究課題
わが国に500万人以上の患者を抱える耐糖能異常(Impaired glucose tolerance: IGT)ニューロパチーだが、その成因や進行パターン、そして point of no return については依然十分解明されておらず、その候補こそ数多く提唱されているものの、際立って有用な指標のない現状では、早期診断、早期治療も容易でない。本研究では、「真に臨床で有用なIGTニューロパチーの早期診断基準」を確立することを最終目標としている。本目標を達成するための具体的な手法の軸は、1.IGT患者情報のキュレーションと、2.蛋白質の翻訳後修飾に着目し、イメージング質量分析法を駆使した病態解析、および診断指標の探索である。本研究は、当初4年計画であったが、予定より少し早い3年目(平成29年度)の時点で、「尿中ミオイノシトール+ Aδ線維特異的痛覚閾値+血管運動神経機能(=C線維機能)の評価がIGTニューロパチーの早期診断の核となる」ことが判明した。しかしその一方で、同研究を遂行する過程において、①耐糖能異常に伴う小径線維については、神経伝達物質から見た線維種によって障害度・障害時期の差があるのでは?、②耐糖能異常ニューロパチーの発症には「酸化ストレス」の関与がより強いのでは?③耐糖能異常に伴うニューロパチーにおいても臨床症状の出現、進行に 中枢神経系が関与している可能性が高いのでは?④我々が考案した尿中ミオイノシトール+Aδ線維特異的痛覚閾値+血管運動神経機能(=C線維機能)の評価から、準境界型(75g-OGTT後1時間での血糖値が180 mg/dL以上)の患者の一部でも小径線維障害が存在する(=「準境界型ニューロパチー」という新たな疾患概念を提唱できる)のでは?、という4つの新たな問いもまた芽生えた。これらについては、次期科研費(課題番号18K07452)で解決していく。
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