研究課題/領域番号 |
15K08621
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
家子 正裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50250436)
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研究分担者 |
高橋 伸彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20372279)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗凝固療法 / 血栓塞栓症 / ダビガトラン / エカリン / 直接Xa阻害薬 |
研究実績の概要 |
今年度は、Ecarin Clotting Time (ECT)を用いて直接トロンビン阻害薬(TDI)であるDabigatran(Dab)療法の残存凝固能の確認検査方法を開発した。 まず、1 vial Ecarin(Sigma)をTris-HCL-CaCl2溶液(20 mL)にて希釈しEcarin溶液とする。被検血漿5μLはオーレンバッファー(20μL)および健常人血漿(75μL)で希釈された後、Ecarin溶液50μL添加し凝固時間(ECT)を汎用凝固時間測定装置STA-R(Roche社)で測定した。Dab粉末をPrecision Biological社製コントロール血漿(PB-CP)に混和し作成したDab血漿を用いて基礎検討を行った。本法の希釈直線性、同時再現性は良好で、測定限界はDab血漿 12.5 ng/mLであった。さらに、換算式 [(患者ECT-コントロールECT)/コンロールECT x 10 ] を用いて、Thrombin Inhibition Ratio (TIR)とした。TIRは、Hemoclot Thrombin Inhibitor (HTI; Hyphen社)を用いたDab血中濃度と相関した(R2=0.656)。Dab血中濃度との相関はAPTT(R2=0.418)よりも良好であった。健常人25人から得られたTIRを健常域とし、健常域より低いTIRの血漿は、血栓マーカーであるFMCが高値となるものが多く、TIRは抗凝固活性(残存凝固能)のみならず凝固亢進も判断できる測定方法である可能性が示唆された。現在、452名のDab服用患者のサンプルを用いて残存凝固活性を測定しており、この結果は日本血栓止血学会などで報告された。 また、直接Xa阻害薬の残存凝固活性の確認試験も準備は整っている。まずリバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンを服用しておりインフォームドコンセントが得られた患者より血漿サンプルをそれぞれ600検体確保した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文にする予定のみ遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Dabigatran療法の効果判定にTIRを応用し、その有効性を検討する予定である。さらに、服用後の経過時間から残存抗凝固能の変動を検討し、有効な抗凝固療法への示唆を行う。 また次年度は、直接Xa阻害薬に関する残存凝固活性の測定を中心に行う予定である。現在、各直接Xa阻害薬服用者のサンプルの収集はほぼ終了しているので、希釈PTをベースとした測定方法の基礎検討を行い、さらに実検体での応用を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要物品がエカリンであり、1 vial 約6万円するため、次年度で対処する予定でした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算に合わせて、エカリンを購入する。
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