研究課題/領域番号 |
15K08625
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
藤原 優子 帝京大学, 薬学部, 助教 (70722320)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スフィンゴ糖脂質 / LC-MS / ペルオキシソーム病 |
研究実績の概要 |
27年度の研究計画として「スフィンゴ糖脂質の分子種を対象とする網羅的な解析系の構築」を目標に、1) 糖脂質の抽出、2) 液体クロマトグラフィーの分離系の検討、3) LC-MS/MS解析条件の検討を掲げた。まず、ブタの脳から抽出した酸性スフィンゴ糖脂質であるガングリオシド混合物、および中性スフィンゴ糖脂質であるセレブロシド混合物を用いてスフィンゴ糖脂質のセラミド部との疎水性に着目し分離の検討を行った。C18逆相カラムとメタノール-イソプロパノール-ギ酸アンモニウムのグラジエントにより分離が可能になった。 しかし、この条件では疎水部での分離は可能であるが、親水基が違う糖脂質も同時に溶出される傾向にあった。よって、次にキラルカラム、およびHILICカラムによる分離の検討に着手した。これまでのところ、ダイセルよりレンタルしたDCpakPTZのHILICカラムではセラミドの疎水部による分離が行われず、スフィンゴ糖脂質の分離には適さない事が分かった。 またヘキサン系 または アセトニトリル系の順相溶媒、メタノールーイソプロ系 または アセトニトリルーメタノールーイソプロ系の逆相溶媒による分離をダイセルよりレンタルした4種類のキラルカラムを現在まで試し、さらに分離条件を良くする為に内径の細いキラルカラムの使用を検討している段階である。 また、LC-MS/MS解析条件の検討においては、イオンソースの最適化を行い、今後使用するイオンソースの条件を決定した。また、それぞれの標品を用いて構造解析の為のフラグメントイオン生成条件を見いだした。さらに生体内サンプルとしてHeLa培養細胞よりメタノール抽出した脂質をMRM解析を行った結果、ガングリオシド、パラグロボシド、セレブロシド、トリヘキソシルセラミド、ラクトシルセラミド、グルコシルセラミドを検出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析対象である糖脂質は多くの糖鎖構造(脂質クラス)があることに加え、セラミド部分の脂肪酸、スフィンゴ長鎖塩基のバリエーションが多様であることから、網羅的な解析を行えるようにする為にはカラムによる分離を詳細に検討する事が重要と考え、カラムの検討を重点的に行って来た。 このカラムの検討に予測した以上に時間がかかっているが、今の所C18逆相カラムとメタノール-イソプロパノール-ギ酸アンモニウムのグラジエントによる分離が一番良い結果を得ている。しかし、さらに分離の良い条件を模索し、キラルカラムの検討を行っている段階である。28年度前期までにカラムの検討を終える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにメタノールを用いてタンパク除去による脂質の抽出を試したが、クロロホルム-メタノール混合溶媒による抽出方法ほか, イソプロパノール-ヘキサン-水系、固相抽出、二酸化炭素による超臨界抽出方法も検討する予定である。また、28年度前期までにカラムの検討を終えた後、それまでに確立した解析法に従い、正常マウス、および 副腎白質ジストロフィーモデルであるALDPノックアウトマウスの生体内サンプルを用いて脳、 脊髄、その他臓器から糖脂質を抽出し、糖脂質の網羅的解析を行う実験に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度はカラムの検討を重点的に行った。この際、カラムは一つ10万~する高価な物であるため、検討の段階での購入は控え、なるべくカラムのレンタルを利用した。 また標品も単一の物よりも糖脂質の混合物を用いての分離検討に重点を置いたため出費を抑えた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後分離のよりカラムがしぼられた際にはカラムを数種類購入する予定である。 また網羅的解析を行うにあたって、解析用コンピューターを購入する予定である。
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