研究課題
1.免疫低下状態のロタウイルス(RV)抗原血症:小児血液腫瘍専門病棟において、免疫低下状態である全患者数の半数にRVの院内感染が発生したため経時的に患児血清および便を採取しウイルス学的解析を行った。観察期間中に胃腸炎を発症しなかった半数の患児も含め全患者に長期間の抗原血症を認めていた。免疫低下状態の患児例で、不顕性にRV抗原血症が起こしていたことを証明した。2.C群RV散発例:RVはVP6の抗原性に基づきA群からH群に分類されているが、地域の小児病院においてA群RV流行中にC群RVが混在していたことを明らかにし、両群における腸管外合併症を比較し肝機能障害の合併頻度がC群RV群で有意に低値であることを報告した。現行のRV迅速抗原キットで陰性例にC群RVが含まれることを念頭におくべきである。3.RV型特異的real time PCR:乳児院とNICUにおけるRVワクチン接種後乳児のRVワクチン株の便排泄状況を解析し、周囲における伝播のないことやワクチンの安全性を報告した。RV型特異的real time PCRを開発したことでワクチン接種後の5種類の異なる遺伝子型の生体内増殖モニタリングが可能となった。4.血清中RV抗原量、ウイルスゲノム量の相関性:RVワクチン(RV5)接種後下痢が遷延し、X-SCIDと診断された患児から採取した検体を用いてウイルス学的解析を行った。便、血清について上記RT-PCRを実施。両検体で長期間G1遺伝子型RVゲノムが検出され、移植後は陰性化していた。RV陽性の便でPAGE解析を行い、NSP5遺伝子を含む複数の遺伝子分節に変異バンドが認められ、この部分の遺伝子解析よりリアレンジメントを確認した。免疫不全患児のRV胃腸炎は便だけでなくRNA血症も長期間持続すること、また長期間のウイルス増殖によると思われるRV5の遺伝子リアレンジメントを証明した。
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