研究課題/領域番号 |
15K08631
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
松永 洋一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80239053)
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研究分担者 |
末永 みどり 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00389181)
古田 晶子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50229118)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / ベータアミロイド / ビタミンD / 蛋白凝集 / 蛋白2次構造変化 |
研究実績の概要 |
昨年は、福岡大學病院外来通院のアルツハイマー病(AD)10名および前段階のMCI患者6名を追加し現段階でAD(93名)、MCI(52名)の血清中25(OH)VD値を検討した。25(OH)VDはMCI段階で、健常者斗比較し、すでに有意な低下が認められ、MCI段階でのAD早期診断に有用であることが示唆された。今後2年間で目標数各100名を目指しその臨床診断的有用性を検証す予定である。 更に、ADの主病因蛋白であるベータアミロイドに対するVDの作用部位を同定する目的で、様々な一アミノ酸残基置換体ベータアミロイドと、ワイルドタイプのベータアミロイド(A-beta 1-40および1-42)に対し、VD2が与える蛋白2次構造変化の相違よりその標的となるアミノ酸残基を推定した。 今回用いたA-beta1-42の置換体では、VD2はE22Q,およびD23Nに対しベータシート構造変化を抑制したことより、VD2はA-beta1-42は22位のEあるいは23位のDがVD2が作用する主標的アミノ酸残基であることが判明した。 更に、A-beta1-40の置換体では、VD2はA21G,E22Q,およびD23Nに対しベータシート構造変化を抑制したが、E22Gに対しては逆にベータシート形成を促進したことより、VD2はA-beta1-42の21位のA,22位E,および23位のDがVDの主標的アミノ酸残基と推定されるが、22位EはVDによる影響よりむしろ、置換されるアミノ酸残基自体による影響が強いことが示唆された。今後更に様々な置換体を追加しVDがA-beta1-40,1-42と相互作用する標的アミノ酸残基を特定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階では、平成27年度に予定していた研究内容は概ね計画通り、ほぼ順調に臨床症例数も追加できている。 またVD2によりA-beta蛋白が2次構造変化惹起をきたす主たる標的アミノ酸残基の同定もある程度判明し、アミノ酸残基が限定されつつあり、当初の研究計画に沿った進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
アルツハイマー病、MCI段階認知症の臨床症例として各々100例を目指し症例の更なる追加を目指す。VDがA-beta に及ぼす主アミノ酸残基同定では、現段階でまだ試みていない様々な変異体A-betaを用い追加実験を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
変異体アミロイドベータ(1-40)および(1-42)で市販で入手可能な試料のみの購入であったため、当初の予定額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
市販されていないアミロイドベータ変異体はペプチド合成する必要があり、必要なアミノ酸購入費と合成システムのオペレータ人件費に昨年度の残額が必要である。
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