研究課題/領域番号 |
15K08632
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
隈 博幸 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40435136)
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研究分担者 |
濱崎 直孝 長崎国際大学, 薬学部, 客員教授 (00091265)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 免疫検査システム / 抗原抗体反応 / 磁気マーカー |
研究実績の概要 |
平成28年度は、開発した磁気的検査システムの臨床評価を主に行った。熊本地震の影響から測定装置の不調が続いているが、本研究で設定した測定項目の一つであるスギ花粉抗原(Cry J-1蛋白質、Cry J-2蛋白質)、スギ花粉単体を測定することに成功し、本検査システムの有効性を示した。特に、Cry J-2については、現在測定できる手法が確立しておらず、今後の進展に期待できるものである。今後、製薬メーカー等との共同研究等も視野に入れ、Cry J-2測定システムの改良を図る予定である。 また、システム評価、磁気微粒子評価については、磁気印加システムを新たに開発し、導入した。大きな違いは、これまで反応後のサンプル溶液に比較的強磁気を当てていたものを、抗原抗体反応中に弱い磁気を継続的に印加する方法に変えたことである。これにより操作ステップが1段階増える煩雑性が増した反面、磁気マーカーからのシグナルが安定し、再現性が向上するとともに、強磁気によるマーカーの沈殿が減少した。総じて、計測技術に対しては操作性と測定値の再現性を、微粒子開発に関しては試薬の安定性を示すことに成功したと考えている。一方で使用した磁気マーカーは市販品であり、やや分散性に劣る面があった。これについてはメンブレンフィルターによるろ過と分散溶媒の改良で向上を図っている最中である。 平成27年度の研究により生じた問題点、及び平成28年度までに設定した目標については、おおむねクリアできたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熊本地震による装置の不具合も修正でき、平成28年度に設定した研究課題と目標はおおむね達成できた。計測技術に関しては、磁気印加システムの改良に伴う検査システムの確立、臨床評価においてはスギ花粉抗原及び単体の測定及び操作法の確立による本システムの有効性を証明できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発してきた要素技術の全てを統合し、目標とするマイクロ臨床検査システムの構築を完成させる。測定を行う予定の項目は、平成28年度に引き続きスギ花粉と、ヒト肝がんマーカであるα-フェトプロテイン(AFP)であり、これら項目の測定限界と正確性、再現性を明らかにする。また、測定できた検査項目は、IFCC(International Federation of ClinicalChemistry)の基準に従った国際単位での統計学的解析を行い、既存の検査装置に対する優位性を示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した試薬類について、当初予定では定価で計算していたが、販売業者の販促キャンペーンや多少の値引きがあり実購入額が下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費(20万円)と謝金等(10万円)に使用を予定している。
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