研究課題/領域番号 |
15K08633
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大西 新 北里大学, 理学部, 講座研究員 (00507014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統合失調症 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
統合失調症は構造化面接による診断を基礎としており、生物学的な根拠に基づいた診断方法は確立していない。現在まで、統合失調症バイオマーカー探索研究は数多く行われたが有用なマーカーは見つかっていない。その主な原因として患者群の不均一性が考えられる。そこでモデル動物を用いてその探索を試みた。統合失調症モデルラットの血清プロテオームを二次元電気泳動によって分離しコントロールラットと比較を行ったところ、モデルラットにおいて大きく変動しているスポットを発見した。そのスポットを質量分析計によって同定した結果、非常に高い濃度でIg kappa light chain constant regionを含んでいることが明らかになった。Ig kappa light chain constant region はIg kappa light chain を構成する重要な分子であり、モデルラットの血清においてIg kappa light chain は特異的に増加していると推定される。Ig kappa light chain の増加はB細胞の活性化によって起こることが知られている。そこで、ヒトにおいてB細胞の活性の指標として知られている血清Kappa FLCと Lambda FLCを孤発性統合失調症患者群とその対照群で比較を行った結果、孤発性統合失調症患者群おいてKappa FLC, Lambda FLC 両方の増加を認めた。これらの結果はFLCが孤発性統合失調症のバイオマーカーとして有用であることを示唆している。本年度はここまでの結果を論文にまとめ国際学会誌及び各学会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究結果が出たため、順調に研究を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、順調に研究が進んでおり今年度は研究成果の公開を主に行って行く予定である。更に本研究によって発見された該血清バイオマーカーの産生メカニズムやその機能についてモデル動物ベースで研究を進める予定であす。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験が滞り無く進んだため、購入予定であった消耗品が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度予定している研究の予備費に充てる
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