研究課題/領域番号 |
15K08638
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 史郎 東北大学, 大学病院, 講師 (40614491)
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研究分担者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80433712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アシネトバクター |
研究実績の概要 |
アシネトバクター属が感染症を起こした場合、多剤耐性化による問題により、効果的な抗菌薬が不可能となり治療に難渋する事が近年報告されるようになってきた。また、市中感染型の劇症型アシネトバクター属肺炎も国内で報告されるようになり、アシネトバクター属による感染症の効果的な治療方法の確率は喫緊の課題となっている。近年、菌種の違いによってアシネトバクター属による感染症の治療反応性やその予後が異なる可能性が報告されはじめている。現在、アシネトバクター属はその生化学的性状が属内で非常に類似していることから、国内の一般的な検査室で行われている細菌同定検査方法では、菌種レベルまで正確に同定することは不可能であると考えられている。正確に菌種レベルまで同定するためには、遺伝子検査の技術を用いて同定するしか、現段階では方法はない。したがって、本研究では集めた菌株を遺伝子検査を用いた方法で菌種レベルまで正確に同定を行った。その結果、今まで、アシネトバクター属の中ではアシネトバクター・バウマニーが多いという報告が多い中、本研究ではアシネトバクター・ノソコミアリスが最も多く21%、次いでアシネトバクター・ソリーが18%という結果となった。アシネトバクター・バウマニーの分離頻度は11%であった。菌種毎に病原性などの違いが報告されていることからも、これらの分離頻度の結果は非常に興味深く、今後、菌種毎の病原性を評価していく必要性を示唆するものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
菌株の収集は患者状態により、多少の差が出ることがあるが、当初の予測より、現段階では収集株数が少ないため、当研究全体の予定としてはやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
菌株の収集を継続的に行っていく。さらに、研究計画に従い、病原性の評価を含めた全ゲノムシークエンス解析も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた菌株が収集が遅れているため、解析にかかる費用が減少した。しかしながら、菌株収集は継続しているため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた菌株が収集を次年度に継続延期することによって生じたものであり、継続延期した菌株収集に伴い菌種レベルでのシークエンス解析、薬剤感受性試験、メタロ-β-ラクタマーゼの確認試験、カルバペネマーゼ確認試験、薬剤耐性遺伝子の解析などに必要な経費として平成28年度請求額と合わせて使用する予定である。
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