研究課題/領域番号 |
15K08639
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
廣川 誠 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50241667)
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研究分担者 |
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 室長 (70373470)
藤島 直仁 秋田大学, 医学部, 講師 (70422152)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特発性血小板減少性紫斑病 / ハイスループット・レパトア解析 / B細胞抗原受容体 / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、次世代シーケンサーとバイオ・インフォマティクスを用いた網羅的次世代T細胞およびB細胞抗原受容体レパトア解析技術を用いて、ヒトの自己免疫性血液疾患における病的T細胞・B細胞クローンを同定し、自己免疫性血液疾患の免疫病態を明らかにすることである。本研究の遂行により、新しいT細胞・B細胞抗原受容体レパトア解析技術が確立されることのみならず、自己免疫疾患に対する病的リンパ球クローンを標的とする新規治療法の開発に貢献することが期待される。 平成28年度は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例10例、血液疾患を有しないコントロールドナー3例におけるB細胞抗原受容体のレパトア解析を行い、症例を超えたpublicな免疫グロブリンの構造の有無について検討した。 今回対象としたITP症例10例においてハイスループット・レパトア解析で読み取ることができたin frame read数は平均75,554±27,973(平均±SD)であった。ITP症例において拡大しているB細胞クローンを調べたところ、IGHV4-61およびIGHJ4セグメントを使用しているB細胞クローンの拡大が10例中8例において確認された。但しCDR3の構造は症例間で異なっていた。今回検索したコントロールドナー3例においてはIGHV4-61およびIGHJ4セグメントを使用しているB細胞クローンの拡大は確認されなかったが、今後さらに症例数を蓄積して解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.本研究計画は平成28年1月28日付けで秋田大学医学部大学院医学系研究科研究審査委員会において既に承認されている。 2.本研究で用いるハイスループット・レパトア解析がB細胞クローンの拡大を効率的に同定することができることが判明した。 3.ITP症例10例およびコントロールドナー3例についてB細胞抗原受容体レパトア解析を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
1.本研究への参加者リクルートメントの推進.本研究が対象とする特発性血小板減少性紫斑病、慢性赤芽球癆、リンパ系腫瘍症例の診療担当医への協力を積極的に依頼する。また、研究協力施設を増やして研究協力者の増加を目指す。 2.特発性血小板減少性紫斑病におけるT細胞抗原受容体・B細胞抗原受容体レパトア解析の推進.比較的症例数の多い特発性血小板減少性紫斑病およびリンパ系腫瘍の検体集積を積極的に進め、T細胞抗原受容体・B細胞抗原受容体レパトアの解析とHLAアリルタイプ、臨床データの集積を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体集積にやや遅れが生じているため、ハイスループット・レパトア解析に使用する予定であった未使用の消耗品費が残っていることが次年度使用額が生じた主な原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金は平成29年度に消耗品費として全て使用する予定である。
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