研究課題/領域番号 |
15K08649
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹本 恭彦 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20364002)
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研究分担者 |
村上 善基 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00397556)
首藤 太一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (20295687)
葭山 稔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30240956)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 老化 / 喫煙 / 早期血管障害 / 血管内皮機能 / 遺伝子検査学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、喫煙者における血管機能障害から血管形態異常への動脈硬化進展におけるmicroRNA(miRNA)の果たす役割を明らかにすることである。喫煙者において、血管機能形態同時評価を通じて動脈硬化重症度の判断を行い、動脈硬化の各段階におけるmiRNAの発現の相違を検討する。また、禁煙治療後の経時的なmiRNA発現変化の検討や、非喫煙者での同様の評価から喫煙者、非喫煙者の差異を明らかにする検討を行うことで、動脈硬化の進展におけるmiRNAの果たす役割を明らかにする。 平成28年度は、合計50例の喫煙者、非喫煙者の登録を行った。登録した喫煙者、非喫煙者において、24時間前より激しい身体活動中止、12時間前より絶食、6時間前よりたばこ、アルコール飲料、カフェイン含有物、ビタミンC含有物の中止、6時間以上の睡眠、22-25度の室温、検査前30分間の仰臥位安静、午前7-12時の間に実施、の条件下で、血管形態評価、血管機能評価、miRNA解析のための採血、を実施した。以後禁煙治療を実施していただいた。平成28年度内に禁煙開始5か月後に到達された方は、開始後5か月後分の血管形態評価、血管機能評価、miRNA解析のための採血、を実施した。 血管形態評価と血管機能評価の結果から、男性喫煙者における新たな血管障害の指標を見出した。血管駆血時に血管収縮反応が生じる場合には血管障害が少なく、この血管収縮反応が生じない場合には血管障害が強いことを見出した。その知見をまとめた結果を論文投稿し、atherosclerosisに採択され、掲載された。 採取した血液よりのmiRNA抽出を開始した。抽出されるmiRNA量の安定化をはかるための抽出法の微調整を実施しながら、抽出を行っている。同時に、抽出検体が今後のmiRNAプロファイリング解析に適するか否かも判定しながら、慎重に抽出を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は50例の喫煙者、非喫煙者を登録し、血管形態評価、血管機能評価、miRNA解析のための採血、を実施した。患者様の登録は、おおむね順調に進んでいる。また、血管形態評価、血管機能評価、miRNA解析のための採血もおおむね順調に実施している。 随時、おおむね順調に血管エコーデータの解析、血管形態評価、血管機能評価を実施している。 取得した血管エコーデータを解析し、血管形態評価、血管機能評価をおこない、喫煙者における新たな血管障害指標を見出し、論文作成のうえ報告したが、さらにその指標の解析を継続している。今回報告した内容は、登録時データからの解析結果であった。そこで、登録時から禁煙5カ月後までの指標の変化から、血管障害の程度を推測できる指標につき、ひきつづき、検討をおこなっている。 miRNA解析は、現在採取した血液よりのmiRNA抽出を実施している。抽出されるmiRNA量の安定化をはかるための抽出法の再検討、調整を実施しながら、抽出を行っている。同時に、抽出検体が今後のmiRNAプロファイリング解析に適するか否かも判定しながら、慎重に抽出を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も、平成28年度にひきつづき、喫煙者、非喫煙者とも登録例数を増やす。禁煙開始5か月後、1年後の血管機能測定、血管形態評価、miRNA解析のための採血も、実施を進める。禁煙治療後の経時的なmiRNA発現変化の検討や、非喫煙者での同様の評価から、喫煙者、非喫煙者のmiRNA発現の差異を明らかにする検討を行う。 miRNA抽出は、抽出方法をいくつか変更しながら、ひきつづき抽出されるmiRNA量の安定化を目指していく。抽出量の安定化をはかり、同時にmiRNAプロファイリング解析に適するか否かについての質的な判定も行いながら、miRNA発現差異の検討に向けて、進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
miRNA関連試薬、RNA抽出キット、miRNAクローニングキットを購入し、現在miRNA抽出を実施中である。抽出されるmiRNA量の安定化をはかるための抽出法の微調整を実施しながら、抽出を行っている。同時に、抽出検体が今後のmiRNAプロファイリング解析に適するか否かも判定しながら、慎重に抽出を継続している。したがって、miRNAプロファイリング解析が未施行であるため、次年度使用額が生じたものと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
miRNA抽出のためのmiRNA関連試薬、RNA抽出キット、miRNAクローニングキットを追加購入し、miRNA抽出を継続していく。さらに、miRNAプロファイリング解析を実施していく。
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