研究課題/領域番号 |
15K08651
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
亀崎 豊実 自治医科大学, 医学部, 教授 (90316513)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自己免疫性溶血性貧血 / クームス試験 / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
稀少疾患であるクームス陰性自己免疫性溶血性貧血(AIHA)症例を全国レベルで集積し、3病態(クームス試験感度以下の赤血球結合IgG 、IgA/IgM型自己抗体、低親和性自己抗体)を網羅したデータベースの構築を目的に、全国から原因不明溶血性貧血患者の精査を受け付け、平成28年度は120例の精査を行った。120例の内訳は、年齢は0.1歳から92歳で、男女比は37%/63%、直接クームス試験陰性例は93%であった。赤血球結合IgG定量値としては1-680IgG分子/赤血球で、抗IgAクームス試験陽性は12例、抗IgMクームス試験陽性は15例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は31例で陽性となり、赤血球洗浄後に18例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査を行い、最終診断とする予定であり、治療反応性や短期予後についても明らかにする予定である。平成28年度は例年通りの100件以上の依頼があった。通常4割程度がAIHAと診断されていることから、順調な症例の蓄積が行われていると考えられる。平成29年度にはこれまでの症例をまとめて、3病態の頻度・治療反応性・予後についての論文の作成を行う予定である。 精査結果を基にした1件の症例報告論文の共著者ならびに1件の学会発表の共同演者となった。現在までの結果を輸血学会で発表した。また、AIHAに関する4冊の書籍の共同執筆者となり、2編のAIHAに関する総説の執筆を行った。東北地方ならびに長崎県の血液科医師の勉強会においてAIHAに関する講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、全国から原因不明溶血性貧血患者120例の精査を行った。直接クームス試験陰性例は93%であった。赤血球結合IgG定量でクームス感度以下の症例が38例、抗IgAクームス試験陽性は12例、抗IgMクームス試験陽性は15例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は31例で陽性となり、赤血球洗浄後に18例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査を行い、最終診断とする予定であり、治療反応性や短期予後についても明らかにする予定である。平成28年度は例年通りの100件以上の依頼があった。通常4割程度がAIHAと診断されていることから、順調な症例の蓄積が行われていると考えられ、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も全国から原因不明溶血性貧血患者の精査を受け付け、平成28年度と同様に赤血球結合IgG定量、抗IgAクームス試験、抗IgMクームス試験、洗浄前後のカラム法IgGクームス試験を行い、クームス陰性AIHAの3機序についてのデータを蓄積し、検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてアンケート調査を行い、最終診断と治療反応性ならびに短期予後についても明らかにする予定である。また、集積したデータに基づいて論文を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体標識用のアイソトープ購入時期が年度を跨ぐことになったため、次年度のアイソトープならびに標識試薬等の購入に使用するため、次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
新年度にはアイソトープならびに標識試薬等を購入する予定です。
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