研究課題
当該年度の検討で、ELISA法より感度が高い化学発光免疫測定法( chemiluminescent immunoassay; CLIA)による、自動化が可能なLn-γ2アッセイ法を構築した。健常人ボランティア52例と,2007年から2015年までの間に当院当科で診断した慢性肝疾患(CLD: chronic liver disease)症例24例およびHCC症例57例を対象とし,CLIAを用いて血清Ln-γ2値を測定し,同時に血清AFP値およびPIVKA-2値を測定した。Ln-γ2のカットオフ値を116.6 pg/mLとすると,Ln-γ2陽性は36/57例(63.2%),AFP陽性(>20 ng/mL)は30/57例(52.6%),PIVKA-2陽性(>40 mAU/mL)は39/57例(68.4%)であった。HCC症例では51/57例(89.5%)でLn-γ2あるいはPIVKA-2が陽性であり,同様にLn-γ2とAFPでは46/57例(80.7%),AFPとPIVKA-2では 47/57例(82.5%)が陽性であった。Ln-γ2はAFPを上回るHCC陽性率を示し,Ln-γ2とPIVKA-Ⅱを併用することで既存マーカー併用よりも陽性率が向上することが分かった.切除肝細胞癌(HCC)患者で免疫組織化学を行い、Ln-γ2単鎖が肝癌患者組織の比較的分化度が低い部分で高率に発現していることを確認した。 Ln-γ2はHCCに対して臨床応用可能な血清腫瘍マーカーとなり得る。
2: おおむね順調に進展している
昨年度までの成果をまとめ、現在、米国科学誌に投稿中である。
次年度以降で消化器系の肝以外の癌においての有用性の検討が必要である。単施設での検討であるので、多施設での検討を予定している。
現在米国で特許申請作業中のため、研究内容の発表が制限されているため、当初予定していた米国での学会発表が取りやめとなり、次年度持ち越しとなりました。
平成27年度までの検討で肝癌・膵癌・大腸癌の腫瘍マーカーとしての有用性が明らかになってきた。一方で、良性疾患(慢性・急性肝炎など)でも上昇がみられるため、臨床検体で更に詳細な検討を行う。人間ドック受診者を対象として、スクリーニング法での有用性をする。これらの結果をまとめ論文作成と国内外の学会で成果を発表する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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