研究実績の概要 |
胃がん間質反応による晩期再発の早期診断法を開発して新しい治療戦略を確立する。本研究では、胃がん臨床検体を使ったがん間質反応の解析により、胃がん再発に直結する微小転移の高感度診断法と増殖活性評価法の開発・がん休眠機序の解明を通して胃がん治療戦略を確立することを目的とする。以下に研究実績概要を示す。1.進行胃がん組織由来の初代培養がん間質細胞の分離と凍結保存ライブラリーの拡充:同一患者のがん間質細胞・非がん胃組織間質細胞・正常小腸間質細胞のライブラリーを拡充して-150℃で保存した。2.老化間質細胞由来の分泌タンパクの精製:ライブラリー化した間質細胞を特定の環境で老化させて無血清培養上清を継時的かつ大量に採取した。アニオンおよびカチオンカラムを用いてタンパク精製を行った。3.老化間質細胞由来のエクソソーム精製:がん細胞に様々な作用を及ぼすことが知られているエクソソームを2の老化細胞から回収・精製した。4. 2,3で精製したSenescence associated secretory phenotype(SASP)を使い、胃がん細胞に対する作用を細胞周期・増殖能・運動能指標にして定量解析した。その結果、カラム精製した特定のタンパク質分画が、低酸素特異的にがん細胞の悪性度を増すことが明らかになった。対して、SASP由来の精製エクソソームは細胞周期にはほとんど影響を与えないことを明らかにした。5.胃がん再発症例における血清および末梢血中単核細胞(PBMCs)の解析から、CCL2など間質細胞由来のケモカインが転移病変増大に関与していることを明らかにした。また、がん再発患者PBMCs解析を経時的に行うことで、病勢評価ができることを明らかにした。
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