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2015 年度 実施状況報告書

膀胱痛は漿膜側間質の変性によりおこるか

研究課題

研究課題/領域番号 15K08664
研究機関秋田大学

研究代表者

河谷 正仁  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00177700)

研究分担者 伊藤 登茂子  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50241675)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード神経科学 / シグナル伝達 / 生理活性
研究実績の概要

尿道狭窄モデル(pBOOモデル)作成2週間後には、膀胱重量が増大した(2-3倍)。顕微鏡で観察すると、粘膜下層の間質に線維芽細胞を主とする増殖と、筋層と奨膜との間に間質が肥厚しここにも線維芽細胞の増殖が認められた。筋層は存在しているが線維芽細胞が浸潤していた。神経線維は奨膜側では存在しているが、筋層ならびに粘膜下層では神経線維の分布があまり認められなかった。
非麻酔下拘束のpBOOモデルラットの膀胱内にあるカテーテルから膀胱内を持続灌流し膀胱内圧測定した。排尿反射を起こす膀胱容量は1.3-1.6mlとコントロールラットの2-3倍の容量で、排尿反射発生の閾値圧は18-24mmH2Oとこれもコントロールラットの3-4倍であった。最大の特徴は排尿反射を起こす前に小刻みな膀胱収縮が認められ(1-2Hz)るが、これは尿道からの尿排出を伴わなかった。
pBOOモデルラットの膀胱をウッシグチェンバーを用いて粘膜側または漿膜側からATPを測定した。小型ウッシグチェンバーに摘出した膀胱をセットし、粘膜側を灌流液2mlのチェンバーから200ulを採取し、ATP量をルシフェリン-ルシフェラーゼを用いて測定した。pBOOモデルではATP量がコントロールラットの1.7-2.3倍であった。奨膜側でpBOOモデルではATP量は、3-6pM計測された。奨膜側から粘膜側にむかって30cmH2Oの水圧をかけるとATP量は最大2.4-2.8倍に記録したが、pBOOモデルとコントロールとでは増加率に差は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

人における尿道狭窄では排尿以前に膀胱の収縮が起こることや、膀胱からの蓄尿信号が起こりやすくなっている。今回のpBOOモデルの検討目的を排尿前に排尿しない膀胱収縮がおきる機構の検討をしたいことにあった。初年度はpBOOモデルの作成に関して2週間後を1つの評価ポイントとして、排尿反射を調べる生理学検討で、尿流出のない膀胱収縮の記録ができ、それが組織・生化学変化と比較できないか。さらにATP量にどう反映されるかを検討できたことにある。これによりpBOOモデル作成も、結果も安定してきている。

今後の研究の推進方策

昨年度結果を学会発表、論文投稿していくための準備を行うとともに実験結果の詳細な検討、系時的変化の固体差の検討が必要とされる。また、今年度の具体的検討に以下のように計画する。
① 尿道狭窄モデルでの形態変化と信号物質の変化
平滑筋(αSMA、Calponin、Myosin 9-11)、間質細胞(vimentin)、 炎症細胞(TGF-β)、神経成長因子(NGF)を上皮細胞・粘膜下組織・平滑筋・漿膜・漿膜下組織でウエスタンブロット・RT-PCRで検討し、術後3、7、14、28日および42日に組織での変化を検討する。さらにISHによってこれらのmRNAの細胞への局在の経時的変化も検討する。
② 膀胱急性拡張モデルでの形態変化と信号物質の変化と排尿反射の検討
ラットに一日1回4mlを強制飲水させる。代謝ケージで排尿量を測定すると飲水後2-3時間は明らかに排尿回数・排尿量は増大する。一週間これを繰り返した後に膀胱重量の変化・平滑筋(αSMA、Calponin、Myosin 9-11)、間質細胞(vimentin)、炎症細胞(TGF-β)、神経成長因子(NGF)を上皮細胞・粘膜下組織・平滑筋・漿膜・漿膜下組織で検討する。

次年度使用額が生じた理由

予定より動物飼育費が少なかった。

次年度使用額の使用計画

動物実験を引き続き行うので、動物飼育費に使用予定です。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Serotonergic regulation of distention-induced ATP release from the urothelium.2016

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto-Miyai, K.,  Yamada, E., Shinzawa, E., Koyama,Y., Shimada, S., Yoshizumi, M., Kawatani, M.
    • 雑誌名

      Am J Renal Physiol

      巻: 310 ページ: F646-F655

    • DOI

      10.1152

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Regulatory effects of 5-Hydorosytryptamine receptors of voiding funciton.2015

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto-Miyai, K., Yoshizumi, M., Kawatani, M.
    • 雑誌名

      Advances in Therapy

      巻: 32,Supple 1, ページ: S3-S15

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 覚醒下ラットにおけるグリシン髄腔内投与覚醒下ラットにおけるグリシン髄腔内投与による排尿機能抑制効果とグリシン受容体α3サブユニットの関与2015

    • 著者名/発表者名
      善積克,河谷正仁
    • 学会等名
      第22回日本排尿機能学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-11
  • [学会発表] 下部尿路から脊髄入力する痛覚伝達機構のin vivo解析2015

    • 著者名/発表者名
      秋元 望, 箱崎敦志, 河谷正仁, 井本敬二, 古江秀昌
    • 学会等名
      第37回日本疼痛学会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      2015-07-03 – 2015-07-04

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公開日: 2017-01-06  

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