研究実績の概要 |
種々の非侵襲的計測法を用いてヒトの脳内での痛覚と痒みの認知機構を明らかにすることが主要研究目的である。さらに関連深い触覚の認知機構の研究も行う。脳波、脳磁図、経頭蓋磁気刺激(TMS)といった生理学的検査法と、機能的MRI(fMRI), 近赤外線分光法(NIRS)などの脳血流検査法を組み合わせて総合的に研究を進めていく、世界的にも最先端の研究である。前年度までに、痛みとかゆみに関する新知見と新しい治療法に関する多くの論文を発表し、新聞やテレビ、ラジオなどの多くのメディアで紹介された。 平成29年度は、痛みとかゆみ認知に関するこれまでの研究成果を、総説論文として発表した。本分野において、このような詳細かつ最先端の総説論文はこれまでには無く、高く評価された。(望月秀紀、柿木隆介:かゆみと痛みの脳内認知機構 日本臨床、総説シリーズ「現代医学の焦点(406)」75(2), 334-343, 2017) また、一般の方向きの、かゆみに関する書籍を発行した(柿木隆介:世界にかゆみがなくなる日、ナツメ社、2017)。かゆみを主要研究テーマとする皮膚科医と基礎研究者との協力のもとにまとめた書物である。これまでに類書は無く、画期的な書物として非常に高く評価された。 また、国際学会で2回、国内学会で3回の招待講演を行った。特に海外での評価が高く、今年度はインドでの国際学会で2度の講演を行ったが、来年度は3回の特別講演の依頼を受けている。さらに、英文と邦文の総説論文の執筆依頼を受け、現在、投稿準備中である。
|