研究課題
近年、オピオイド受容体は生体でμ/δ二量体化受容体(μ/δ受容体)を形成すること、そしてその薬物特性は単量体のものと異なることがわかってきた。その一例として、μ/δ受容体選択的作動薬が耐性を示さず鎮痛効果を有することが報告された。近年μ/δ受容体に選択性を示す部分作動薬ML335が化合物ライブラリースクリーニングより見出された。ML335は鎮痛効果を示し、加えてモルヒネ鎮痛耐性を生じたマウスに対して鎮痛効果を示したことから、μ/δ受容体作動薬が鎮痛耐性を起こさない新規カテゴリーの鎮痛薬になり得ること、従ってモルヒネ鎮痛耐性形成時に新たな薬物処方を提示できる可能性が考えられた。ML335は、CellKeyを用いた本研究での実験で、μ/δ受容体発現細胞でのefficacy、potencyは共に低く、さらにμ/δ受容体選択性は不十分であることが判明した。実験系の最適化をめざし、μ/δ受容体発現細胞の再作成を行い、さらにアッセイ系の再構築を行ったが、これまでに報告されたML335の特性を再現することができず、さらに最適化したアッセイ系構築が必要と判断した。そのため新たにμオピオイド受容体等のGPCRの活性を高感度にアッセイできるシステムである卓上型自動パッチクランプ「Ion Flux」を本研究に導入した。同システムは96ウェルプレートを用いたハイスループットアッセイ機器である。現在同システムを用い、μ受容体、δ受容体、μ/δ二量体化受容体の活性測定のための最適化の条件設定を行っている。
4: 遅れている
本研究では、オピオイドμ/δ二量体化受容体特異的な新規鎮痛薬の開発、並びに臨床応用への基盤構築を目的として、3年計画の研究をスタートさせた。μ/δ受容体に選択性を示す部分作動薬ML335が近年化合物ライブラリースクリーニングより見出され、同薬物は鎮痛効果を示し、モルヒネ鎮痛耐性を生じたマウスに対しても鎮痛効果を示したことから、μ/δ受容体作動薬が鎮痛耐性を起こさない新規カテゴリーの鎮痛薬になり得ると考えた。同薬剤をシーズに、北里大学薬学部 藤井秀明教授を連携研究者として新規鎮痛薬の創製をめざし、まずML335の特性を詳細に解析することとした。しかしながら当研究室で解析に用いたCellKeyでの実験では、μ/δ受容体発現細胞でのefficacy、potencyは共に低く、さらにμ/δ受容体選択性は不十分であることが判明した。したがって実験系の最適化を工夫し、さらにμ/δ受容体発現細胞の再作成を行うなど、実験の見直しを行ったものの、これまでに報告されたML335の特性を再現することができなかったため、さらに最適化したアッセイ系の構築が必要と判断した。そのため新たにμオピオイド受容体等のGPCRの活性を高感度にアッセイできるシステムである卓上型自動パッチクランプ「Ion Flux」を本研究に導入し、同システムを用いたアッセイを行うこととした。現在同システムを用い、μ受容体、δ受容体、μ/δ二量体化受容体の活性測定のための最適化の条件設定を行っているが、Ion Fluxは新規機器であるため、まだ使いこなす段階に至っておらず、その結果、予定した研究が遅れている。
本研究は、オピオイドμ/δ二量体化受容体特異的な新規鎮痛薬の開発並びに臨床応用への基盤構築を目的として、3年計画で研究をスタートさせた。北里大学薬学部 藤井秀明教授を連携研究者として、プロトタイプであるML335のμ/δ二量体化受容体アゴニストの特性を指標に新規μ/δ特異的鎮痛薬の創製をめざした。しかしながら当研究室で解析に用いたCellKeyの実験結果はμ/δ受容体発現細胞の効果をみる上で不十分であり、実験系の最適化、さらに新たな最適化アッセイ系の構築が必要と判断した。現在新たにμオピオイド受容体等のGPCRの活性を高感度にアッセイできるシステム、卓上型自動パッチクランプ「Ion Flux」を本研究に導入し、μ受容体、δ受容体、μ/δ二量体化受容体の活性測定のための最適化の条件設定を行っている。Ion Fluxによるアッセイ確立の後は、実験を本格化させ、現在ML335の構造をベースに平行して作製している複数の新規μ/δ二量体受容体選択性候補薬の特性解析を進めていきたいと考えている。
本研究は、オピオイドμ/δ二量体化受容体特異的な新規鎮痛薬の開発並びに臨床応用への基盤構築を目的として、3年計画で研究をスタートさせ、ML335のμ/δ二量体化受容体アゴニストの特性を指標に新規μ/δ特異的鎮痛薬の創製をめざした。しかしながら当研究室で解析に用いたCellKeyの実験結果はμ/δ受容体発現細胞の効果をみる上で不十分であり、実験系の最適化、さらに新たな最適化アッセイ系の構築が必要となった。したがって新たにμオピオイド受容体等のGPCRの活性を高感度にアッセイできるシステム、卓上型自動パッチクランプ「Ion Flux」を本研究に導入し、最適化の条件設定を行っている。Ion Fluxのための賃貸借料は増加したが、CellKeyで行うはずであった実験がストップしたため、当該研究を次年度以降に行うこととし、本年度の使用予定の額を次年度に繰り越した。
1)Ion Flux賃貸借料および2)本年度行うべきであったCellKeyを用いた実験にかかる研究費として充当
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