研究課題
近年、μ、δ、κで構成されるオピオイド受容体は、生体でμ/δ二量体化受容体(μ/δ受容体)を形成すること、さらにその薬物特性は単量体のものと異なることがわかってきた。特にμ/δ受容体選択的作動薬は、耐性を示さずに鎮痛効果を有することが報告され、耐性のないオピオイド鎮痛能を有する新薬としてμ/δ選択的アゴニストの臨床開発が期待されている。平成25年に初めてμ/δ受容体に選択性を示す部分作動薬ML335が報告された。ML335は鎮痛効果を示し、さらに鎮痛耐性を起こしにくいことがわかり、モルヒネ鎮痛耐性時に処方可能な薬剤として注目を浴びた。しかし同薬は未だ臨床試験に進んでおらず、また当研究室で実験の最適化を行い、μ/δ二量体化発現細胞を用いてCellKeyアッセイ行ったところ、ML335はμ/δ受容体発現細胞に対しefficacy、potencyは共に低く、さらにμ/δ受容体選択性もかなり低い(論文通りにはいかない)ことが判明した。そこでML335をシーズとして化合物の合成を行い、CellKeyによりその活性をスクリーニングしたところ、作製した100種類の化合物の中で、9種の化合物がML335と比較しμOR、δORには親和性が低く、かつμ/δ二量体化受容体にはML335を上回る活性を有することを見出した。現在、同物質の特許化の可能性について知財担当者と相談中であり、さらに同物質をシーズとする新規化合物の合成を順次進め、μ/δ二量体特異的化合物の最適化を行っているところである。
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