研究課題/領域番号 |
15K08687
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
志田原 美保 (古本美保) 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20443070)
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研究分担者 |
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 放射線医学研究部, 主任研究員 (40360359)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アミロイドPET / タウPET / 部分容積効果補正 / 形態画像 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アルツハイマー病の診断を目的としたPET検査において、アルツハイマー病に特徴的な病理(アミロイドβ、タウ集積)を反映する脳画像を高精度化することである。このために形態・解剖情報(MRIや脳アトラス)を用いた部分容積効果補正を行うことで画像の定量性を向上させる画像処理手法の確立に取り組み、確立した方法によりアルツハイマー病の早期診断の精度向上に貢献することを目指す。 平成28年度は、実際の健常者、およびアルツハイマー病患者のタウPET臨床画像に対して補正精度の誤差評価を、様々な部分容積効果補正法としてGTM法、MG法、LABBE法、IY法、RBV法、SFSRR法の6つの手法で行った。また、形態・解剖情報としてFreeSurferを用いた詳細な脳構造を導入した。その結果、脳萎縮の進んだアルツハイマー病患者のMRI画像は、特に海馬領域での自動での解剖領域分割化が困難であることが分かった。
前年度の検討より、MG,GTM,RBV法は形態情報のずれが補正結果に大きく影響することが分かっており、海馬や側頭葉内側でMRI画像からの解剖領域の割り当てに誤差が生じると、これらの手法は大きな誤差伝搬を受けることがわかった。また、部分容積効果補正の結果、RBV, IY. GTM法などそのアルゴリズムに類似点が多いものは、ほぼ同等の結果を示したのに対して、MG法は、海馬で過補正の傾向があることが、前年度の数値シミュレーションだけでなく、今年度行った臨床画像における検証でも確認された。また、この過補正の傾向は、健常者かアルツハイマー病患者であるか、アミロイドやタウPETでの高集積がみられるか、などの様々な条件で異なるという新しい知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の計画どおりおおむね進展している。ただし、様々な部分容積効果補正法を検討するとしていたが、各々のアルゴリズムの動作確認を確実に行いながら使用するのに時間がかかったため、6種類の方法の導入にとどまった。前処理・本処理を組み合わせると、21通りの補正法の検討が可能であるため、引き続き、アルゴリズムの特性を把握し、最終目的である真の意味での最適化を目指し検証をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでに数値シミュテーションで行ってきた、想定しうる誤差要因に対しての誤差解析において、どういったアルゴリズムがロバストであるかという分析結果、また実際の臨床PET画像において、コアなアルゴリズムが異なる様々な部分容積効果補正が、どのような補正値の傾向を示すかという分析結果を踏まえて、最適な、より臨床に貢献しうる新たな補正アルゴリズムを考案・検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度末に、研究成果の論文投稿を行う予定であり、英文校正、投稿料を残していたが、薬剤のライセンスをもつ製薬会社からの許可がおりるのが遅くなったため、投稿は平成29年度になってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であるため、成果を論文としてまとめてゆくために繰り越した予算を充てる予定である。
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