研究課題/領域番号 |
15K08692
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今江 禄一 東京大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80420222)
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研究分担者 |
山下 英臣 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70447407)
芳賀 昭弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30448021)
辰己 大作 医療法人新明会都島放射線科クリニック(放射線治療研究開発部), 放射線治療研究開発部, 医学物理士 (60728848)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 定位 / 体幹部 / 強度変調法 / 回転型 / 治療中 / 線量分布 |
研究実績の概要 |
本研究では強度変調放射線回転治療(volumetric modulated arc therapy : VMAT)を用いた体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy : SBRT)を実施し,実際に標的に与えられた吸収線量および対象内の線量分布(実線量分布)を評価することによって,SBRTによる腫瘍制御および正常組織の副作用を予測する方法を構築することを目的とした.当該年度は以下のことを実施した. (1)VMAT-SBRT を動体ファントムおよび臨床例に対して実施し,治療中に収集した呼吸信号および照射制御パラメータと治療計画時の4次元CT(four-dimensional CT : 4DCT)ならびに非剛体レジストレーション(deformable image registration : DIR)用いて積算線量分布を作成した. (2)作成した積算線量分布と治療計画を比較した.治療計画に対して肉眼的腫瘍体積内は計画通りに線量が投与され,計画標的体積の周囲で変位ベクトルが大きい領域に線量差が出やすいことが確認された. (3)前立腺を対象としてVMATを実施し,治療用透過X線画像および商用ソフトを用いて放射線治療中の線量分布を構築した.ここで,骨盤部にある前立腺を対象としたのは,胸部に比較して密度が均一であるため,商用ソフトを用いた方法の妥当性を検討するためであった. (4)放射線治療中における肺腫瘤の位置および変形を考慮したダイナミック(経時的)画像の予測方法を構築した.4DCT画像と透視画像を用いて開発したアルゴリズムを評価した結果,両方の画像で高精度に予測可能であった. (5)肝臓のSBRT後において,肝硬変および正常肝における限局性の肝機能障害についてしきい線量を磁気共鳴画像を用いて評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では動体ファントムを用いて積算線量分布を作成する予定であったが,予定より進展し,動体ファントムおよび臨床例の実施が達成された.しかし,症例数を増やすなどこれから時間を要する予定である.一方,当該年度に実施予定であった治療計画およびDIRの基礎的検討やコーンビームCT(cone beam computed tomography:CBCT)画像の利用は当初の計画ほど進まず,来年度にも継続して研究を進める.
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今後の研究の推進方策 |
1. 積算線量分布の作成について,解析対象の症例数を増やす予定である. 2. VMATに利用されるX線が高線量率モードに移行するため,高線量率モードでもこれまで同様に解析が可能か,検討する. 3. 治療計画およびDIRの基礎的検討を実施する. 4. CBCT画像を利用した積算線量分布の作成を目指す. 5. SBRT後の肺および肝機能評価法の検討
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に計上していた解析用ワークステーションについて既存のものを利用したため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度以降では解析用ワークステーションの購入,国際および国内学会の参加予定である.また,国際論文の投稿を目標として,英語論文の作成で必要な校閲費用を英語校閲費として計上しており,有効に活用する予定である.
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