研究課題/領域番号 |
15K08699
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
藤崎 達也 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00285058)
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研究分担者 |
阿部 慎司 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00274978)
布施 拓 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (10712648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 乳房放射線治療 / ボーラス / ポリマーゲル線量計 / 線量分布 / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
乳房放射線治療は手術後の乳房または胸壁全体を標的体積として均一な線量分布で放射線を照射するが、単純な接線対向2門照射では乳房厚や胸壁の不均一およびビルドアップ効果によって標的体積内に均一な線量分布を得ることは難しい。そこで、ポリマーゲル線量計を用いて皮膚表面近傍の線量低下を補償するボーラス材として利用するとともに、臨床普及の治療計画装置では困難なビルドアップ領域の線量評価が可能なボーラス型ゲル線量計の開発を行う。 平成27年度は、キットにより唯一市販されているポリマーゲル線量計の元素分析を行い、放射線に対する水等価性を確認した。次に、ポリマーゲルの酸素阻害を解決するため酸素不透過シートを用いてボーラス(ボーラス型ゲル線量計)として構築し、従来型ボーラスと比較を行った。さらに、ビルドアップ領域の線量計算が可能なモンテカルロシミュレーションを用い、単純な幾何学モデルによってボーラス型ゲル線量計の有無による皮膚表面近傍の線量分布を検討した。 元素分析によって従来型ボーラスより水等価性に優れていることを確認するとともに、酸素不透過シートを用いて構築したボーラス型ゲル線量計は従来型ボーラスと同等の人体親和性を有していることを確認した。さらに、モンテカルロシミュレーションによってボーラス型ゲル線量計内を含む皮膚表面近傍の線量分布から、ボーラス無しとボーラス有りを比較してD95が30 %程度改善しており、ボーラス型ゲル線量計を用いることで表在性の病変に対して適切に処方線量を投与できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は唯一市販されている既存のポリマーゲル線量計を使用したが、このキットが高騰しているため、今後は自家製造や他のポリマーゲル線量計を検討する必要がある。しかし、ポリマーゲル線量計の製造・入手方法が変更になっても研究の手法等には大きな問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究により、ポリマーゲル線量計を従来型ボーラスと同様にあらゆる曲面や凹凸の形状にも柔軟に設置できる薄膜のビニル素材で、かつ、酸素透過が無視できるシートに封入し、ボーラス型ゲル線量計を作製した。ボーラス型ゲル線量計は概観等において従来型ボーラスと同様に作製できたが、最適な厚さ等を検討していく必要がある。また、乳房接線照射を想定した線量分布はモンテカルロシミュレーションにより評価できたが、今後は特性曲線の取得方法を検討しボーラス型ゲル線量計による実測評価を行う予定である。同時に、臨床で使用されている数種の光子ビームを再現する位相空間データベースを整備する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、唯一市販されているポリマーゲル線量計キットを購入予定がったが、高騰しているため、既存のキットで対応した。今後は自家製造や他の安価なポリマーゲル線量計の入手を検討する。
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次年度使用額の使用計画 |
ポリマーゲル線量計の製造・入手方法が変更になっても研究の手法等には大きな問題ない。安価なポリマーゲル線量計の入手ができなかったときは、原料を購入して自家製造で対応する予定である。
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