研究課題/領域番号 |
15K08700
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
福士 政広 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (70199199)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | モクズガニ / 放射性セシウム濃度 |
研究実績の概要 |
先行研究でモクズガニ甲羅の濃度が比較的高い、富岡川、請戸川および当該年度は前田川において調査を実施した。測定は前年と同様に採取したモクズガニの甲羅を乾燥・粉砕処理をして高純度ゲルマニウム半導体分析器で測定誤差1%程度の測定時間において放射性セシウム濃度(Bq/kg)を測定し、年度度毎の推移を検討した。さらに今回はモクズガニの生息している場所の河川水の調査も実施した。 その結果、富岡川のモクズガニの甲羅のCs-134濃度は68.60±3.17Bq/kgから38.95±2.50Bq/kgへCs-137濃度は299±3.71Bq/kgから232.24±2.63Bq/kgへと変化した。また、採取場所の河川水の濃度はCs-134ではN.D、Cs-137濃度は2.55±0.82Bq/kgであった。河川水と比較してモクズガニの甲羅に集積した放射性セシウム濃度が高いことが判明した。 次に請戸川のモクズガニの甲羅のCs-134濃度は1075.23±42.44Bq/kgから16.63±1.02Bq/kgへCs-137濃度は4510.15±48.10Bqは89.98±2.20Bq/kgと富岡川に比べ大幅に減少した。さらに、当該年度測定対象とした前田川のCs-134濃度は14.41±1.75Bq/kg、Cs-137濃度は222.89±3.31Bq/kgで当該河川水の濃度はCs-134ではN.D、Cs-137濃度は1.24±0.52Bq/kgであった。他の河川と同様に河川水の放射性濃度と比較して著しく高値を示した。 このことは、放射性核種の物理的(Cs-134半減期2y、Cs-137半減期30y)な減衰を考慮し考察しても生物濃縮がいまだ継続していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、対象河川を複数とする予定であったが復興作業の進展により河川の河口に立ち入ることが物理的に無理な箇所があったが工事も進み立入可能の箇所が増加した。反面、住民の帰還が進み、それに付随する工事のため立入ができない箇所も増えた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度測定対象として富岡川と請戸川および前田川において引き続きモクズガニの甲羅の放射性セシウム濃度を測定し濃縮課程を調査する。また、多チャンネル可搬型スペクトロメータと用いて汚染土壌の深度分布を継続的に測定する。同時にスクレーパープレートを用いた深度分布調査も継続して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象地域は福島第一原発を挟んだ河川をであり、復興作業が漸く進み現地調査が容易になった反面、住民の帰還にともなう作業が増加しており、現場での調査日程と入域許可の関係で作業時間が限定され、予定の調査回数をこなすことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においては対象地域の復興作業と住民の帰還にともなう復興作業が順調に進む見込みなので現場での作業日程を確保することが可能である。平成29年度は作業日程を増やして計画的に研究を遂行し研究結果をまとめる予定で有る。
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