研究課題
陽電子放出断層撮像法(PET)は画像診断や分子イメージング研究等において重要な役割を担っている。その有用性はPET装置の物理特性に関わる品質保証・管理(QA・QC)に支えられ、中でも重要なのが定量性評価・校正である。しかし、ファントムやドーズキャリブレータを用いる従来法のみではその信頼性と利便性に限界があった。本研究の目的は、定量性評価・校正の信頼性と利便性を格段に向上させるため、研究代表者らが独自に考案したトレーサブル点状線源を用いる新しい定量性評価・校正法の開発を進めることである。平成29年度、トレーサブル点状線源の開発においては、アクリル吸収体タイプGe-68/Ga-68点状線源について、前年度までの検討を継続し仕様・製造方法に関して製造業者と調整を進めた結果、改良された試作品の製造に至った。定量性評価・校正プロトコルの開発と検証においては、前年度までに考案した専用ミニファントムとアクリル吸収体タイプGe-68/Ga-68点状線源を組み合わせる手法の検討をさらに進め、PET装置の物理特性について従来法では知り得なかった新たな知見を得た。また、アクリル吸収体タイプGe-68/Ga-68点状線源のみを用いて校正定数を決定する手法については、国内の7施設、計13機種にまで対象装置を拡大することができた。一方、アルミ吸収体タイプNa-22点状線源を用いる手法については、臨床用PET装置2機種に対する長期的検証をさらに1年間継続して新たな知見を得た。以上、おおむね想定どおりの研究成果を得た。そして、提案手法の有用性や次年度以降に向けての課題も明らかとなった。
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