研究課題/領域番号 |
15K08703
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (70450195)
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研究分担者 |
芳賀 昭弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30448021)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | データ同化 / 予測 / 超解像 |
研究実績の概要 |
データ同化を利用した4次元体内予測モデルの作成の為の要素技術の開発項目として,平成28年度は,1)体表面の複数点の呼吸カーブから患者の体表面を予測する技術の開発,2)予測技術を支える基本的数理のまとめ,3) 超解像手法を用いて,コーンビームCTの画質を向上させる技術 4) 医用画像のみから異常を判定する技術の開発を行った. 1)については,本研究の基盤である市販の距離画像カメラ(Microsoft Kinect)を用いて体表面の情報を精度良く検出する技術をベースに,基本的な呼吸状態をハミルトン系と見なして作成した状態空間モデルに対して,データ同化を用いて数秒後の体表面の位置を予測する方法について, 第112回医学物理学会で発表した.2)については,第111回医学物理学会で正則化やベイズ推定の数理について招待講演をおこなうとともに,医学物理学会誌で発表した.3)については,患者体内情報のある時点でのほとんど唯一の情報源であるコーンビームCTについて,低画質に悩まされている現状を,散乱線除去などの従来の手法とは全く異なるアプローチで,アーチファクトを低減させ,画質飛躍的に向上させることに成功した.この技術について,第113回医学物理学会大会で発表した.4)については,医用画像が正常かそうでないかの判定を,ディープラーニングの技術を用いて,精度よく判定するシステムを開発し,第113回医学物理学会大会で発表した. これらの研究成果を国内学会6件発表うち招待講演1件,国際学会1件発表,論文,プロシーディング6本として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人の呼吸状態の把握と,それに基づく予測は,古くて新しい問題である.本研究では,この問題に対し,呼吸にまつわる人体のシステムをハミルトン力学系と見なし,そのモデルの予測を状態空間モデルで表現して粒子フィルタを用いてデータ同化することで,旧来の手法の問題点の克服を試みた.この手法を,体表面の複数点に適用し,平滑化を行うことで,体表面の予測を行った.本手法の予測精度は,予測期間が2秒で20%以内であった.また,これらの予測に必要な数理の基本をまとめた.
放射線治療期間中の体内の臓器の変形や腫瘍の位置のずれなどは,コーンビームCT画像などでモニタし続ければ取得可能であるが,コーンビームCTは,一般的に低画質であり,そのままでは現在の状態を反映した再治療計画の立案には使用できないという問題点があった.そこで,我々は,高画質画像として治療計画CT,低画質画像としてコーンビームCTを用いた医療用の超解像手法の原理を世界に先駆けて確立し,コーンビームCT画像の画質を著しく向上させることに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
システムの計算にGPUをもちいて計算速度の高速化を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
国内旅費に対して他の補助金からの援助をうけることができたため,次年度にわずかながら繰り越すことになった.
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次年度使用額の使用計画 |
英文校正費用や論文出版のための投稿料として使用する予定である.
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