昨年度まで開発を進めてきた,CT画像における早期アルツハイマー病の診断支援システムの性能評価を行った.側脳室下角容積が様々な40例に適用した結果,本手法の出力値であるZスコアは,側脳室下角の容積と高い相関性(R2=0.94; P<0.0001)があり,提案法は,CT画像において側脳室下角の容積を高精度に測定することができることがわかった.すなわち,開発を進めてきた画像統計解析によるZスコアマッピング法は,側脳室下角の容積をZスコア値により半定量化できることが明らかになった.また,アルツハイマー病の検出に関する性能評価では,前年度までに,重症度の比較的高い症例に本手法を適用し,アルツハイマー病群とコントール群を分離できることが明らかになっていた.本年度は,早期アルツハイマー病に関する本手法の有効性を評価した.早期アルツハイマー病患者13例と非アルツハイマー病患者33例による評価実験の結果,ROC曲線のAUC値が0.826となった.また,両者のZスコアの中間値は,それぞれ1.47と1.07となり,本手法の出力Zスコアは両者を分離(P=0.0017)することができた.したがって,本研究で開発してきたCT画像におけるzスコアマッピングによる側脳室下角容積の半定量化法は,早期アルツハイマー病を検出する能力をもつことが示唆された.現在,一般的にCT画像はアルツハイマー病の診断に寄与することは少ないと言われている.しかし,本手法の性能評価の結果から,早期アルツハイマー病の検出の向上が示唆された.
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