PET検出器はバランスのとれた非常に高い性能を有しているが、コンプトンカメラの手法を取り入れてガンマ線の相互作用位置をトラッキングすることで更なる 性能向上が可能である。また、PET検出器による高感度シングルガンマイメージングが実現できればイメージング装置として様々な応用が期待できる。 昨年度までに、 発光素子としてGAGGシンチレータ、受光素子としてMPPCを用いた散乱部を試作し、既存の吸収部と組み合わせることで積層型トラッキング検出器を試作し性能を評価した。散乱部は0.9 mm角のシンチレータを十分識別でき、検出器全体で17%のエネルギー分解能を得た。 また、本検出器を用いて多重リング(散乱部の直径20 cm、吸収部の直径66 cm)を想定した137Csのシングルガンマ・イメージングのシミュレーションを実施した結果、線源と散乱部の距離が2 cmにおいて4 mmの空間分解能を得た。本検出器はシングルガンマ・イメージングにおいても生体計測に十分利用可能な性能を期待できる。本年度は散乱部のエネルギー分解能を改善するためにGAGGシンチレータを多層化しシンチレータ光を分散して検出することで15%(511 keVガンマ線に対して)のエネルギー分解能を達成した。
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