研究課題
グラム陰性菌のHelicobacter pylori (ヘリコバクターピロリ)菌は、慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃MALT(Mucosa Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP :Idiopathic thrombocytopenic purpura)の病態形成に関与する。また、その感染伝播の経路に関しては不明な点も多く、齲歯、歯周炎がピロリ菌の病原巣として働き除菌治療後の再感染の要因となる可能性が指摘されるが、日本人での検討は十分でない。本菌は、1983年に発見され、1997年にはゲノム解析が完了し、ゲノムレベルで多型性に富むことが判明した。多くの型のうち、CagA陽性株の感染が胃癌の発症には重要であり、胃上皮細胞に接触したピロリ菌がIV型分泌装置を介してCagAを胃上皮細胞内へ注入し、細胞内部のシグナル伝達の撹乱を惹起し癌化を促す。胃癌形成に関与するピロリ菌だが、血管内皮機能を障害し、酸化脂質を増加させ、動脈硬化を促進することが知られており、CagA陽性株と早期動脈硬化との関連も示唆される。本研究では、ピロリ菌の亜型菌株(CagA)の解析を施行し、ピロリ菌と口腔内感染(齲歯・歯周炎)との関連、酸化ストレスの病態への関与につき検証を行った。尚、基本検診と歯科検診の同時施行例を解析範囲とした当初の検体取得方法では統計学的検証を行うに足る症例数が集められず、また口腔内ピロリ感染の直接 検証を増幅法や培養・鏡検法で試みたが条件の最適化が困難であることの二点の理由により、新たな手法として被験者の保存検体の解析を追加し約450例の対象を得た。
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