今後の研究の推進方策 |
次年度(平成29年度)は、脳血管疾患(脳出血、脳梗塞、血管性痴呆症など)のPheWAS解析を検討する。痴呆症の既知疾患感受性遺伝子としてGWASで同定されているTOMM40遺伝子とAPOE遺伝子に焦点を当てて、遺伝子多型を選出し、脳動脈狭窄指数(ICAI)等の病理フェノーム情報や神経病理データとの関連をPheWAS法で解析する。 選出する遺伝子多型はAPOE遺伝子では痴呆症のリスク因子として有名な3つのイプシロン(ε) アレルε2, ε3, ε4を判定するのに使われるrs7412多型とrs429358多型の解析を予定している。TOMM40遺伝子については、APOE遺伝子多型イプシロン(ε) アレルとのgene-gene間の関連が見られているポリT多型などを予定している。他にも、脳出血や脳梗塞の感受性遺伝子の中から、日本人集団でMAFが20%以上のSNVを幾つか選出する予定である。 候補遺伝子のSNVは約2300検体の日本人連続剖検例から得たDNAを使って、TaqMan SNP Genotyping Assay及びTaqMan CNV Assay、あるいはexome-chipによりジェノタイプ型を判定し、病理フェノーム情報等と結合して、統計解析用データセットを作成する。PheWAS解析にはSAS統計解析ソフトウェアを用いて、Chi-square test, Fisher test, ANOVA, logistic regression等により各多型とフェノームとの関連を解析する。全ての解析結果はP-値が0.05未満の時に統計学的に有意であると判定する。 病理フェノーム情報には脳動脈狭窄指数(ICAI)や神経病理データ(脳重量、厚み、石灰化の有無等)があり、これらと各多型の相互関連を詳細に解析してゆく。
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